アベノミクスの先行きは明るい 識者・海外紙は改革推進に期待

 内閣改造を受け、アベノミクスの改革への期待は海外でも高まっている。

【第3の矢にシフト】
 国際的な言論配信機関『プロジェクト・シンジケート』は、米エール大学名誉教授で安倍首相の経済政策ブレーンの1人である、浜田宏一内閣官房参与の論稿を掲載している。

 浜田氏は、アベノミクスの金融・財政政策は成功だったと述べ、デフレ解消の結果として金融・財政政策の影響が弱まる今こそ、需要サイド重視の第1の矢(大胆な金融政策)・第2の矢(機動的な財政政策)から、供給サイド志向の第3の矢(民間投資を喚起する成長戦略)にシフトすべき時だと言う。

 浜田氏は第3の矢の中身として、労働市場改革、規制緩和、法人減税を挙げている。

・労働市場改革:外国人労働者の受け入れは抵抗が大きく、むしろ女性の就労を妨げる障害を除去することで、高齢化により減少する労働力の不足を補うことが可能だろう。

・規制緩和:医学部新設に34年かかるような現状を、例えば医療技術の採用や外国企業招致を目的とした特区の導入により改める。

・法人減税:多国籍企業を惹きつけるためのツールであり、内外からの投資を促進するためにも必要。

 浜田氏は、8月にウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下、ウォール紙)が行ったインタビューでも、構造改革の必要性を強調していた。「低調な景気回復が供給面の制限によるものであるならば、規制緩和、貿易自由化、法人税減税を含む第3の矢が、生産能力の拡大促進への解決策になる」と述べている。

【アベノミクス待望の成果】
 ウォール紙はまた、4日付けの社説で、今後数ヶ月のうちにアベノミクスの成果をもたらしそうな要因を2つ挙げている。

 1つ目は、今回の内閣改造において、塩崎厚労相が入閣したことだという。労働市場の柔軟性向上にとっての障害と目されてきた同省に、コーポレート・ガバナンスの強化と公的年金資金の株式への投資を推進する、改革派の塩崎氏が大臣として就任した意義は大きい、とウォール紙は見る。

 2つ目は、4日の記者会見における、黒田日銀総裁の発言である。10%への消費再増税に関して黒田氏は、再増税しない場合のリスクが大きいとし、増税によって予想以上の経済の落ち込みがあっても、財政・金融政策で対応できると述べた。

 日銀が紙幣を増刷して円が弱くなれば、昨年と比べて勢いの弱まった株式市場も息を吹き返すだろう、とウォール紙は述べている。緩和姿勢への期待が伺える。

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Text by NewSphere 編集部