停滞TPP交渉の裏で、中国が新たな自由貿易圏に積極姿勢? 海外注目

 西村康稔内閣府副大臣は30日、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる日米協議について、「一定の前進はあったものの、なお開きがあり、歩み寄りが必要」、「最終合意は容易ではない」との認識を示した。

 また、「TPPはアメリカにとっても重要で、我々共通の利益となる」と述べ、「できるだけ早期にある程度妥協点を見出せるよう協力すべき」だと語った。

【オバマ氏在任中にTPP交渉をまとめるのは困難】
 アメリカ政府には、オバマ大統領に「早期一括交渉権」を付与するよう米会議を説得するため、「TPP交渉」を締結する狙いがある。そのためにはまず、農業・自動車市場を守りたい日本との交渉を進めなければならない。

 しかしオバマ大統領は今週、TPP交渉を進展させることなく、東アジア外遊を終えた。

 これら「早期一括交渉権」と「TPP交渉」の議論を2015年中盤まで引きずることは、オバマ氏にとってリスクとなる、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。

 TPP交渉締結後、弁護士が議会に提出する最終書面をつくるのに数ヶ月かかる。遅くとも2015年早期までに議会で承認を得るためには、今夏に交渉を完了させなければならないと同紙は指摘。

 現時点でこれは困難であり、オバマ氏が2017年1月までの在任中にTPP交渉をまとめるには、「時間がない」と同紙はみている。

【今後のTPP交渉進展の可能性】
 TPP交渉に参加する12ヶ国は、5月17~18日に中国で開催される「APEC貿易閣僚会議」に続き、同月にベトナムで開催される「TPP首席交渉官会合」で協議する。オバマ大統領と安倍首相はその後、11月に中国で開催される「APEC首脳会議」で会う予定だ。

 ただ、TPP交渉の再活性化は期待できないだろうとフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

【FTAAPを呼びかける中国の動き】
 アメリカ主導のTPPが行き詰まる中、中国が推進を呼びかけているアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の動きが注目される。

 中国商務省の王受文次官補は30日、FTAAPの実現に向けたワーキンググループを設置することを提言した、とAFPは報じている。王次官補は「一部のAPEC加盟国から肯定的な反応を得ている」と述べたという。

 なおFTAAPは、元々はカナダが2004年に提唱し、2006年にはブッシュ米大統領(当時)が主導する方針を示した(新華社)。しかし、オバマ大統領はTPPを主導しており、これまでほとんど進展がない。また新華社は、TPP交渉の参加国は、日本を除けばFTAAPに前向きだ、と報じている。

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Text by NewSphere 編集部