アベノミクスの「成績表」発表 消費税増税への影響は?

 30日、経済産業省は6月の日本の鉱工業生産指数が前月比3.3%(前年比では4.8%)低下したと発表した。5月は1.9%増であり、5ヶ月ぶりの減少となる。

 エコノミストらは事前に下落を予想してはいたものの、それよりも大幅に悪く、2011年3月の震災以来最大の下げ幅である。

 ただこの指数は、元々、月ごとの変動が激しい指標でもあり、各紙はさほど心配していない模様だ。TOPIX指数も5日ぶりに上昇している。

【自動車の生産調整が影響】
 主な下落要因は、自動車生産の4.1%減。個別には、前年比でトヨタ自動車が9.9%、本田技研工業が35%、日産自動車が7.9%下落。他に電子部品や工業機械なども減少したと報じられている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、メーカーの一時的な在庫調整を理由に挙げている。メーカー側では、7月に6.5%の生産増、8月に0.9%減を予期しているという。

【堅調な需要・失業率低下】
 したがって各紙は、円安もあって長期的には国内外の需要は堅調であり、深刻な事態の前兆ではないとしている。フィナンシャル・タイムズ紙は、中国の成長が大きく鈍化しているものの、米国からの需要が比較的強いため日本は乗りきれるとの、専門家の意見を伝えた。

 また、失業率は3.9%に下がり、2008年10月以来の低水準になったと報じられている。ただし賃金上昇には至っていない。

 住宅投資減税の期限切れによる改築支出減も一因となり、家計支出は前年比0.4%下落となっている。市場予想は1%の増加であった。日用品支出は強く、衣服や履物の支出は8.1%増であった。

 また各紙は、来年4月以降に計画されている消費税増税に言及し、今回のデータは安倍政権の「成績表」ではあっても、政権が増税可否を判断する決め手となるほどのデータにはならなかったと述べている。

Text by NewSphere 編集部