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MRJのライバルに? 中国初の国産小型旅客機ARJ21就航 受注300機超、米市場向けに改良中

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MRJのライバルに? 中国初の国産小型旅客機ARJ21就航 受注300機超、米市場向けに改良中

 中国初の国産ジェット旅客機「ARJ21」が28日、国内線に就航した。同機は、日本の三菱航空機が開発中の「MRJ」と競合する小型の「リージョナルジェット」(地域航空機)。中国は国内利用だけでなく、輸出も視野に入れており、既に国内とアフリカや東南アジア諸国から計300機以上を受注しているという。ただし、今のところアメリカ、ヨーロッパ、日本などの安全基準に関わる認可が下りていないため、主要先進国市場への輸出には待ったがかかった状態だ。小型旅客機の分野ではボンバルディア(カナダ)、エンブラエル(ブラジル)の2社がほぼシェアを握っているのが現状。国家の威信をかけて「航空機生産国」に名乗りを上げた中国だが、そこに割って入るにはさまざまな課題が残されている。

◆「欧州機に劣る点は何もない」
 ARJ21は78席と90席の2タイプがあり、航続距離は2200〜3700km。100席以下で短距離の国内線利用を目的にしたリージョナルジェットの分野で、三菱がYS-11以来の国産旅客機として開発中の「MRJ70」(78席)、「MRJ90」(92席)の直接的なライバルの一つと目されている。

 その1号機が28日、格安国内線の「成都航空」に納品された。製造する国営企業「Comac」の上海工場から四川省の成都空港に到着し、式典を行った後、政府関係者や報道陣を乗せて2時間かけて再び上海に飛んだ。香港英字紙「サウス・チャイナ・モーニングポスト」(SCMP)は、パンダの着ぐるみも登場した派手な式典の様子を「ナショナリスティックな感情があふれていた」と伝えている。機長は、これまでの成都航空の主力機、エアバス社製の「A320」と比較して「初の中国製ジェットを飛ばすことを非常に光栄に思っている。A320に劣る点は何もない」と報道陣に答えた。

 現在20機のA320を保有する成都航空は、30機のARJ21を注文済で、来年中に4機が納入される予定。今回受領の機体は3ヶ月近く運用試験を行った後、北京、上海、広州、深センなどの航路で使用される予定だ。Comacは、成都航空の株を48%保有しており、最初の納品先にいわば身内を選んだ形だ。SCMPはこれを念頭に、「成都航空は、中国が航空機生産に参入したことを内外に示す重要な使命を帯びている」と記す。より大型の150席級の「C519」も組み立て段階に入っているといい、同紙は「ARJの商用利用でのパフォーマンスは、C519のテストケースになる」とも伝えている。

◆日米欧には輸出できず
 Comacは、受注数は「既に300機以上」だとしている。大半が国内航空会社からのものだが、コンゴ、タイ、ミャンマー、ドイツといった海外からの注文もあるという。

 ただし、実際に販売して飛ばすにはその国の安全基準を満たした証明となる「型式証明」が必要で、アメリカ、ヨーロッパ、日本などではまだ取得できていない。中国政府は2014年末に型式証明を発行しているが、今のところ輸出可能なのは中国の基準が認められているアジア、アフリカ、南米の一部の国に限られている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、アメリカで型式証明が発行されないのは「官僚主義と技術的な問題による」という内部情報を伝えている。Comacは、アメリカの安全基準に沿った改良機を開発中だという。

 中国国営新華社通信は、今回の初飛行を伝える記事で、騒音の大きさと客室内に振動があるというパイロットのコメントを紹介。「メーカーには改良計画があり、我々は騒音と振動の問題が適切に解決されることを期待している」と記す。また、SCMPの取材に答えたイギリスに拠点を置く航空機鑑定士は「航空機製造に新規参入するのは容易ではない」としたうえで、「運用が始まれば、メーカーに最も問われるのはサポート能力だ。機体そのものが安全でなければならないのはもちろん、メーカーは潜在的な顧客に対し、あらゆる技術的な問題を迅速・効果的に解決する能力を示さなければならない」と述べている。

◆どこまでが「中国製」?
 当面のもう一つの課題は、パイロット不足だ。旅客機のパイロットの免許は機種ごとに与えられており、同時に複数の種類の機体を操縦することはできない。例えば成都航空のA320のパイロットがARJ21を飛ばすには、免許の切り替えが必要だということだ。現在ARJ21の免許を持つパイロットは10人(うち成都航空に4人)しかいない。SCMPは、機体の数が当面揃わず、収入の基準になる飛行時間が稼げないARJ21の免許に切り替えるのは「大きな賭け」だと記す。成都航空はこの問題に対処するため、ARJのパイロットの時給を3倍に引き上げたという。

 就役が遅れたこともマイナスの材料だと見られている。当初は2006年の運用開始を予定していたが、それから10年遅れた計算になる。WSJは、その間にボンバルディアとエンブラエルの2社がほぼ市場を支配し、ロシアも独自開発の機体を投入、日本のMRJもすぐ後ろに迫っている現状から、10年前よりも遥かに競争が厳しくなっていると指摘している。

 MRJは昨年11月に試験飛行を行い、再来年の納入を目指している段階だ。新世代エンジンを搭載し、これまでにない低燃費、低騒音、低排気物質を実現し、性能面ではARJ21を完全に凌駕しているとされている。購入価格はARJ21の方が安いと見られるが、燃費の良いMRJの方がランニングコストは安くなる見込みだ。WSJは、ARJ21の技術について、次のように記す。「中国製の航空機だと持ち上げられているが、ARJ21は米マクダネル・ダグラスMD-90の影響を受けており、海外の技術に大きく依存している。米ロックウェル・コリンズのアビオニクス、同じくGEのエンジンを取り入れ、翼はウクライナのアントノフがデザインした」。

(内村浩介)

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