米紙“これが日本マクドナルドの答えなのか?” マックチョコポテトに対する海外の反応

 日本マクドナルドが、フライドポテトにチョコソースをかけた「マックチョコポテト」を発売した。海外メディアは、顧客離れに悩む同社が、業績回復を目指し投入した新メニューだと紹介。味に関しては、意外な評価もされている。

◆業績回復に貢献するか?
 マクドナルドのホームページによれば、チョコポテトは「アツアツホクホクのマックフライポテトにホワイトとブラウンの2色のチョコソースをかけた」もの。箱入りポテトにパキッと割って出すタイプのソースが付いて、お値段330円の期間限定商品となっている。

 ワシントン・ポスト紙(WP)は、「これが日本のマクドナルドの抱える問題への答なのか?」と述べ、賞味期限切れの中国産鶏肉を使ったチキンナゲット販売、異物混入、品不足によるポテトの販売制限など、数々の問題が客離れの原因となり、同社の業績が上場以来最悪に陥っていることを伝えている。奇抜な新メニューは、業績回復への努力の一つだというのが、同紙の説明だ。

 もっとも、いちよし経済研究所のアナリスト、鮫島誠一郎氏は「(企業)イメージが完全に崩れた後で、大ホームランに期待すべきではない」とし、「いまだにメニューの中に突破口となるものは見られない」と辛口の意見を述べている。ブルームバーグ・インテリジェンスのリテール・アナリスト、トーマス・ジャストラブ氏は、チョコポテトは「短期的な稼ぎは生み出すが、本当に必要なのは、長期的にもっと魅力あるメニューにすること」と指摘。それができれば客層が広がり、客足もぐんと伸びると述べている(ブルームバーグ)。

◆驚きの味に、賛否両論
 さて、チョコポテトの売りは「ポテトのしょっぱさに、チョコソースの甘さが加わる驚き」とマクドナルドは述べるが、これをおいしいと取るか、まずいと取るかは人それぞれだ。

 全米5位の発行部数を誇るワシントン・ポスト紙は、日本では予想外に好評だと伝えたが、読者からは「気持ち悪い」、「いや。単に、いや」、「チョコとフライドポテト両方に対する冒涜」など、否定的な意見が多く見られた。

 一方、ゲーマーのためのニュースサイト『Kotaku』のブライアン・アシュクロフト氏は、すでにチョコがけポテトチップス等の商品を経験済みで、狼狽はなかったと述べる。塩とチョコが互いを補完し、熱いポテトがソースを温めチョコの香りも引き立ったと高評価だ。ただし、マックポテト自体に強い臭いがあるため、敏感な人はそれを助長するチョコソースはパスしたほうがいいとアドバイス。また、チョコソースがない通常のマックポテトMの270円に比べ、330円は高いなどとも述べている。

『Kotaku』のコメント欄には、

・俺は前からポテトをサンデーにディップしてた(多数が、「やったことある」と賛同)。
・俺はサンデーにナゲットをディップ(それは「無理」と、反対意見)
・子供の頃、シェイクにポテト突っ込んで食ってた。
・サツマイモの天ぷら大好物。あれなら合うぞ。
・もうすぐロッテリアが、スパゲッティとかにチョコかけて出すと読んでる(日本在住者)。

など、意外にも肯定的とも取れるコメントが並んだ。

◆奇抜な組み合わせは話題作り
 フォーブス誌に寄稿したフードビジネスに詳しいジェフ・ウィリアムズ氏は、「チキン&スイカ&ワッフル」、「ピザ味のアイスクリーム」、「シナモンドーナツのハンバーガー」など、アメリカの不思議な組み合わせを紹介している。

 米インディアナ大学の民俗学者、リック・ウィルク氏は、エルビス・プレスリーの好物だった、ベーコンとピーナツバターとゼリー状のジャムを挟んだ「フールズ・ゴールド・ローフ」サンドは、今でもコロラド州のカフェの人気メニューだと述べ、不思議な組み合わせでも味が良ければ話題になり、店にもプラスと述べる(フォーブス誌)。

 人口の減少に加え、消費者の健康志向、多様なホットメニューを出すコンビニへの客のシフトなど、マクドナルド日本には様々な障害があるとブルームバーグは述べる。話題を呼ぶ奇抜なメニューに頼るだけではだめだが、とりあえずはチョコポテトの健闘を祈りたい。

Text by 山川 真智子