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世界の自動車メーカー城下町に明暗 スバルの太田市に米紙注目 その評価は?

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世界の自動車メーカー城下町に明暗 スバルの太田市に米紙注目 その評価は?

 独フォルクスワーゲン社(VW)の排ガス不正問題は、幹部自らが「会社の存続を脅かす危機」だと発言(ロイター)するなど、自動車大国ドイツを揺るがす大問題に発展しつつある。そうした中、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、VWの本社があり、典型的な企業城下町として発展してきたヴォルフスブルグの「将来不安と住民の連帯感」をレポートしている。一方、石油価格の下落などでアメリカでは自動車の販売が10数年ぶりに伸びており、日米の自動車企業城下町には好況の兆しが見えている。WSJはそれぞれ別の記事で、米デトロイト(フォード、GM、クライスラー)と群馬県太田市(スバル)から、現状を報告している。

◆ヴォルフスブルグ市は新規インフラ計画を停止
 ドイツ北西部ニーダーザクセン州にあるヴォルフスブルグは、まさにVWのために生まれた都市だ。ナチス・ドイツ時代、ヒトラーの命令により誕生した「国民車=Volkswagen」を生産するために、1938年に都市化された。戦後もVWと共に発展を続け、現在は12万5000人の人口を抱えるドイツで最も豊かな都市の一つになっている。工業都市としてだけではなく、ドイツ再統一後は、豊富な税収により自動車関連のアトラクション・博物館などの施設も充実し、観光都市としても栄えている。VWがスポンサーについているブンデスリーガ(プロサッカーリーグ)のVfLヴォルフスブルグには、かつて日本代表の長谷部誠選手も所属していた。

 今回の排ガス不正問題は、そんなヴォルフスブルグの歴史上、最大の危機となるかもしれない。WSJは、今の現地の様子を「ヴォルフスブルクの住民は厳しい未来を受け入れる覚悟を強いられている」と表現する。市当局はVW社からの税収が大幅に減ることを見越し、予算と新規採用の凍結を決断。先週、文化センター・消防署建設を含む7000万ユーロ(約94億円)の新規インフラ計画を停止すると発表した。停止措置は排ガス不正問題の見通しがつくまで、当面続くとみられる。地元州議会議員はWSJに「今後数年は厳しいと思う」と答えている。

 道行く人の表情も険しいようだ。WSJは「VWのスキャンダルについて話したがる人はほとんどおらず、多くの人はVWへの連帯感から、事件は『誇張されている』として(取材に)取り合おうとしない」と記す。影響は周辺の関連企業にも広がっており、同州ザルツギッターのVWのエンジン工場は今週、先手を打って生産を縮小、隣接するブラウンシュヴァイクにあるVWの金融部門も雇用凍結に踏み切った。

◆市民はVWと一蓮托生の覚悟、楽観的な声も
 しかし、失業の不安を訴える声が聞かれる一方で、ヴォルフスブルグ市民のVWへの信頼感は依然として高いようだ。WSJは「VWが今後、長期にわたってスキャンダルの影響に苦しむと考える地元住民は少ない」と記す。同社に36年間勤務した市会議員は「私たちは特別な立場に慣れている。それを失いたいと思う人はいない」と、VWと市民は一蓮托生だと語る。同紙によれば「スキャンダルは憎らしいほどの成功を収めたドイツのブランドに対する米国の陰謀だという声さえある」という。

 1990年代初頭の自動車産業停滞期には、VWは3万人の雇用を守るため、勤務体制を週4日に縮小したこともあった。しかし、「それでもヴォルフスブルクは常に苦難の時代を乗り越えてきた。2度の石油危機の時もそうだった」とWSJは記す。世界金融危機でドイツのGDPが5%減少する事態に陥った時も、ヴォルフスブルクでは法人税収が増加したという。

 とはいえ、今回はVWそのものの不祥事が原因で、過去の外的要因によるピンチとは様相が異なる。先の地元州議会議員は「これまでにも危機はあったが、今回は信頼に関わる問題なのでこれまでとは違うようだ」とWSJに答えている。一方で、「全ては熱い蒸気のようなもの。また消えてなくなるだろう」と語るVW社員もいる。こうした楽観的な見通しを市民がいつまで持ち続けることができるか、予断を許さない状況が続いている。

◆「モータウン」デトロイトでは失業率が劇的に改善
 ヴォルフスブルグから楽観的な声が出ている背景には、石油価格の下落により、世界的な自動車販売が好調だという外的要因もあるようだ。10年以上に渡って売上低迷に苦しんできたアメリカでも、特にピックアップトラック・SUVを中心に販売台数が伸びており、年間1700万台売れた2001年の「歴史的なペース」(WSJ)に近づいている。

 この恩恵を大きく受けているのが、人気を二分するピックアップトラックを作っている、米デトロイトに本拠に置くフォードとゼネラル・モーターズ(GM)だ。WSJの経済記者ブログ『Realtime Economics』は、デトロイト都市圏の失業率が急激に低下しているというデータを用いて、市民生活への好影響を計っている。それによれば、今年8月、デトロイトの失業率は過去15年間で最低の5.6%を達成した。全米平均の5.1%よりはまだ高いが、2009年のGMの経営破綻を経てデトロイト市自体も2013年に財政破綻を経験している過去からすれば、「行き詰まりを見せていたこの地域にとっては、ドラマチックな転換点だ」とWSJは記す。

 デトロイトは、フォード・GM・クライスラーの米自動車「ビッグスリー」が本拠を置く「モータウン(自動車都市)」で、その景気の浮き沈みは、米自動車産業と共にあった。8月の失業率5.6%は、前年比で2.7ポイントの下落で、全米の人口100万人以上の都市圏で最大の改善率だという。この数字は、それだけ米自動車産業が好調だという証明でもある。ただし、ブログの筆者、エリック・モラス記者は、デトロイト地域の労働人口が減少傾向にあることや、好況の原因が自動車産業だけでなく、近年割合を増しているサービス業にもあることに触れ、「必ずしも良いニュースばかりではない」としている。

◆群馬県太田市のスバル工場は増産体制
 アメリカの自動車販売の好調は、遠く日本の群馬県太田市にも波及している。同市は、前身の中島飛行機の工場があった歴史から、戦後もスバル(富士重工)の企業城下町として発展した。現在もスバルをはじめ、富士重工の系列工場が多く操業しているが、WSJの日本関連記者ブログ『Japan Realtime』は、スバルの基幹工場が米需要の高まりを受けて、「Kaizen(改善=作業効率化)などを通じて増産体制に入ったとレポートしている。

 同記事によれば、スバルは先週、海外・国内メディアの記者を太田市の組み立て工場に招き、新たな「Kaizen」策を披露した。それらは、組み立てラインの部品供給に新開発の可動式の棚を導入したり、これまで手作業で行っていた部品を包むビニールの廃棄を掃除機のような機械で行うようにしたりするなど「非常に地味なもの」(WSJ)だ。スバルは、これにより「数段階の作業を省略することができた」と成果を強調している。

 同社は、これらの効率化と「少しの残業」(WSJ)により、太田市の2つの工場(組み立て工場及びエンジン・トランスミッション工場)での生産を昨年の63万6000台から65万台に増やす計画だ。スバルは、他の日本の自動車メーカーが現地生産にシフトする中、「国内生産・輸出」に重きを置いている。そのため、業績の好調が地元の活性化により直結していると言えるだろう。一方、WSJによれば、持ち株会社のトヨタの米インディアナ州ラファイエット工場が、再来年春からスバルの工場に鞍替えされる予定で、現地生産の拡大も視野に入れているようだ。

 日米独の自動車大国それぞれの企業城下町からは、自動車産業のパワーバランスの変化の予兆も見て取れる。ユーザーとしても、今後の展開から目が離せない状況が続きそうだ。

(内村浩介)

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