世界に逆行、日本のガラケー人気 “搾取的”なスマホデータ料が理由? 海外が考察

 IT市場専門のリサーチ・コンサルティング企業『MM総研』は先月、スマートフォンの出荷台数は減少し、フィーチャーフォン(従来型携帯電話、いわゆるガラケー)は増加したと、数字を明らかにした。同社調査によると、スマホは2014年、前年に比べ約5.3%減の2770万台、一方ガラケーは、5.7%増の1058万台出荷された。携帯電話全体では、2年連続して減少し、2.5%減となった。

◆今はガラケーの方がオシャレ
 フォーブス誌は、ガラケーは「安くて、ダサい、時代遅れの携帯電話」とも言うことができる。これを使うのは、子供、中年のサラリーマン、そして年寄りだけだ。しかし、最近になって、その人気が再燃している、と報じた。

 海外各メディアとも、ガラケーの数字が伸びたことに、「不思議な人気再燃」などとタイトルをつけ、奇妙な印象を受けているようだが、同時に、この現象の分析も示している。『eWeek』は、少数派の異なるユーザーが、それぞれ違う理由でガラケーを選ぶ、と以下の理由を挙げた。
・スマホの高額で搾取的なデータ使用料
・簡単な操作
・利便性(バッテリーの持ちが良い)
・大きさ(スマホは大きくなる一方で、携帯しづらい)
・レトロ感・時代と逆行するカッコ良さ
などだ。

◆廃れることのない人気
 従来の携帯電話の人気再燃は、日本に限った事ではない、とCNBCは報じた。韓国でもその兆候がみられるようだ。韓国のカウンターポイント・リサーチのアナリスト、トム・カン氏は、「従来型携帯電話は、消えてしまうと思っていた。しかし、一部の親はいまだに、スマホでなくガラケーを10代の子供に買いあたえる。子供達が他念を持たないように」(CNBC)と根強い需要があると指摘した。

 また、フォーブス誌は、日本の人口統計学的変化に理由があるのではとの見方も示している。日本では、出生率が低く高齢化も進んでいることはよく知られているとし、高齢者の多くが必要としているのは、電話をかけたり、メッセージを送受信したりすることだけだ、と説明した。明らかにタッチスクリーンやアプリなど、スマホを使いこなすのは難しいと考えること多いだろう、とスマホの煩わしい点を挙げている。

◆2台目の端末
 フォーブス誌は、セキュリティーと個人情報の管理についても触れている。スマホ上でのネット接続やアプリの使用により、外から個人情報に侵入される危険が高いと指摘した。 企業は自社の情報を守るためにも、社員には、携帯電話を持たせたほうが良いだろう、と助言している。

 CNBCでは、ガラケーの出荷台数の増加について、契約更新の時期にあたっているためだ、と専門家の推測を取り挙げた。しかし、その他にも、日本の消費者は、携帯を2つ目の携帯端末として購入するということも理由だという。そして、携帯電話を2台所有することで、通信とデータ保存の機能を分けて安全性を高める以外にも、料金を抑えた次の実例を紹介している。九州大学のアントニオ・フォルマシオン教授は、ソフトバンクのガラケーを通信に使い、日本国内の電話にかけ放題で、月2000円、ギャラクシーS55をデータ管理に使い、月980円支払っているという。それまではiPhone5を使っていたが、9000円くらい払っていた、と支払い金額が激減した例を挙げた。

※本文中「ガラケーは、5.7%増の1058台出荷された」は「ガラケーは、5.7%増の1058万台出荷された」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(3/6)

Text by NewSphere 編集部