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“秘密主義の高収益メーカー”ファナックに、米ファンドが株主還元求める 回答は設備投資?

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“秘密主義の高収益メーカー”ファナックに、米ファンドが株主還元求める 回答は設備投資?

「物言う株主」として有名なダニエル・ローブ氏率いる米ヘッジファンド、サード・ポイントが、日本のファナックの株式を保有していることを、今月公表した。ローブ氏は、ファナックに対して、1兆円超の莫大な内部留保を用いて、自社株買いを行うべきだと提言している。これにより、1株当たりの利益や自己資本利益率(ROE)が上がり、株の価値が高まり、株主に対する貢献になる。

 一方、ファナックは、投資家への情報開示や交流に積極的ではないため、海外経済紙からは「秘密主義」と評されている。ローブ氏はファナックにとって「黒船」となるのか。

◆ファナックの営業利益率は非常に高い
 ファナックは、工作機械およびその制御装置、産業用ロボットなどを製造するメーカーだ。株式の時価総額は19日の時点で約5.5兆円に上り、東証1部上場企業のうち第10位となっている。日本を代表する大企業の一つだ。

 ブルームバーグによると、同社のコンピューター制御装置は、世界の工作機械の半数以上で使用されているという。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が、ゴールドマン・サックスのアナリストの見積もりとして伝えるところでは、ファナックは2013年、世界のロボット市場のシェア18%を占めていたという。同社の工作機械はアップルのiPhoneの製造にも用いられており、売り上げを順調に伸ばしているようだ。

 同社が先月発表した2015年3月期の業績予想では、売上高6882億円、営業利益2680億円、純利益1851億円となっている。営業利益率が40%近くと非常に高いことに、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙のデビッド・ピリング氏のコラムや、ブルームバーグが着目している。同社には現在、1兆円を超える内部留保があるという。

◆「日本で最も人目を避けている企業」
 ブルームバーグは、ファナックを「日本で最も人目を避けている企業の一つ」だとした。コンピューターウイルスを遮断するために、業務はたいていファックスで行われ、電子メールはほとんどの場合使用禁止だという。IR(投資家向け広報)部門がなく、アナリストとの電話会議もない。稲葉善治社長は投資家とはめったに会わず、他の大多数の大企業のCEOのように、東京や大阪で説明会を開かない、とも伝えている。

 かつてファナックの株主だったオークマーク・インターナショナル・ファンドのデビッド・ヘロー代表は、ファナックの経営方針をめぐって、経営陣との面談を求めたが、かなわなかったという。「ファナックは、日本や世界の大多数の企業よりも、経営陣への接触を認めない傾向がある。同社の無口さは明らかに桁違いだ。非常に良い会社だが、まるで自営業のように経営を行っている」とブルームバーグに語っている。

◆多額の内部留保を使っての自社株買いを要求
 一方、サード・ポイントは、ある企業の株を大量に取得してから、その企業に、株主への還元を増大させる措置を取るよう要求することで知られている(WSJ紙)。最高経営責任者(CEO)のダニエル・ローブ氏は、アメリカでは企業経営陣に対し、彼らが辞任するか方針を変えることを期待して、公に厳しく非難することで名を成し、また個人資産も成した(ブルームバーグ)。ローブ氏は2013年、ソニーに対して、エンタテインメント事業を一部分社化して上場することなどを求めて、日本でも話題になった。

 FT紙コラムによると、ローブ氏は、ファナックは収益性の高い優良企業であり、産業用ロボットの需要が高まりそうな状況で、それを活用する格好の位置にあると認めた。それでも、多額の内部留保に手を付けないことは「不合理」だと述べている。ブルームバーグによると、もし同社が自社株買いをしたならば、同社の価値は著しく上がるだろう、とローブ氏は述べたという。

◆日本ではうまくいっていない「物言う株主」
 ローブ氏のような「物言う株主」は、株主提案権などを通して、企業の経営に積極的に関与しようとする。しかしこのような試みは、日本ではほとんどうまくいっていない、とFT紙コラム、ブルームバーグは伝える。

 だが、状況は変わりつつあるようだ。アベノミクスのもとで、コーポレートガバナンスの強化、株主利益の重視などの方針が打ち出されている。投資家にとって、よりフレンドリーな環境が醸成されつつあることをFT紙コラムは伝える。ローブ氏はブルームバーグに対し「日本全体の雰囲気が変わりつつある」と語っている。

 WSJ紙は、(円安による)企業の業績好調に海外投資家が引き寄せられて、東証の株価を押し上げるのに貢献している、と伝える。19日、日経平均株価は一時1万8300円台まで上昇し、14年9ヶ月ぶりの高値となった。

「いまは21世紀です。もし彼らが公開会社でありたいのなら、投資家とコミュニケーションするべきです。それが私たちのメッセージです」とローブ氏はブルームバーグに語っている。

 ただし、あるアナリストはブルームバーグで、「ファナックは、試してみる相手としてはおそらく最悪の企業の一つだろう」と語っている。

◆1300億円の設備投資:ファナック側からの回答?
 ローブ氏の動きが明らかになって数日後の16日に、ファナックは、工場と研究所の新設に約1300億円を投資すると発表した。同社はローブ氏の要求については触れていない。WSJ紙が報じた。

 ローブ氏はこれに対し、この投資によって彼の提案が否定されるものではない、と語っている。金額からすれば、まだまだ余裕があるからだ。しかし、ジェフリーズ証券の熊谷侑大アナリストは、ファナックの設備投資計画は、自社株買いの可能性を排除したわけではないけれども、タイミングからして、(ローブ氏に)メッセージを送ることを意図したものだったのかもしれない、とWSJ紙に語っている。

 また、投資家の中には、(ローブ氏と異なって)ファナックが短期的な株主への還元よりも、長期的な成長を優先したことに満足している人もいる、と伝えた。

(Newsphere編集部)

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