“背水の陣”ソニー平井社長、改革失敗すれば退任の可能性と米メディア報道

 19日、都内のホテルでソニーの株主総会が開かれた。過去7年間で6度目の赤字決算となり、さらに、今年度も赤字を見込んでいることについて、平井社長兼最高経営責任者は、「株主様の期待に添うことができず、申し訳ない」と陳謝した。さらに、「我々は強い危機感をもって、2014年度内に構造改革をやりきる」と強調した。

【ヤジが飛び交った株主総会】
 総会では、多くのヤジが飛び、平井社長が「ご静粛に願います」と何度も繰り返した。2012年に社長に就任して以来、平井氏は、エレクトロニクス事業の再生を目標にしている。しかし、2004年から続くテレビ事業の不振を立て直すことができず、2013年度も赤字となった。

 個人投資家からは、「かつてのソニーの栄光はなぜ失われたのか」、「1979年のウォークマン(ポータブルカセットプレイヤー)のような素晴らしい製品をなぜ生み出せないのか」など、厳しい批判とともに、かつてのソニーを望む声が寄せられた。

【エンターテイメント事業の分離は?】
 構造改革の一環として、ソニーはPC部門を日本産業パートナーズ株式会社(JIP)へ売却することを決定している。しかし、エンターテイメント事業の分離については、拒否する姿勢をみせた。これは、昨年、アメリカのヘッジファンドであるサードポイント代表のダニエル・ローブ氏から示された案である。

 総会で平井社長は、エンターテイメント部門を保持することはソニー全体に良い相乗効果をあたえるとし、分離するつもりはないことを強調した。

【ゲーム、映画事業は好調】
 不調ばかりが目につくソニーだが、ビデオゲームや映画事業は、好調である。PS4は、ライバルであるマイクロソフト社のXbox One に対し大きくリードしている。今後、中国での生産、販売も行う予定で、さらなる利益が見込める。

 映画では、「22ジャンプストリート」や「アメイジング・スパイダーマン2」が好調で、今後続編も公開予定となっている。

【勝負の年】
 今年度中に構造改革を完了し、テレビ事業を黒字化するとした平井社長。『ブルームバーグ』は「平井氏にとって、今年が勝負の年。失敗すれば、社長辞任となる可能性がある」という信金アセットマネジメント株式会社のコメントを掲載し、ソニーの改革が待ったなしの状態になっていることを伺わせている。

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Text by NewSphere 編集部