日本のゲーム市場、世界シェア10% “かつての創造性を失った”と指摘 復活の鍵はインディーズゲーム?

 PlayStation 2が全盛だった頃、日本のゲーム業界は、ソフト・ハード両面において、世界のゲーム市場を席巻していた。しかしその後、徐々に日本の影響力は低下していった。世界のゲーム市場における日本の現在のポジション、そして将来像を、ガーディアン紙とヴァージが報じている。

【日本のゲーム、過去と現在】
 ガーディアン紙によると、2002年には、日本は世界のゲーム市場の50%を占めていた。2010年になると、その比率は10%にまで低下した。PS4の国内での発売が、アメリカとヨーロッパより3ヶ月遅かったのも、もはや日本が世界のゲーム市場の中心地ではないことを物語っている、との見方を紹介している。

 ヴァージも同様の事実を伝える。PS2時代に最もヒットしたのは、『ファイナルファンタジー』『バイオハザード』といった日本製のゲームだった。しかし、現行ハードで世界的に大ヒットしているのは、『コール オブ デューティ』『Mass Effect』といった西洋メーカーのゲームであり、その多くは北米産だ。

【日本のお家芸没落の原因】
 このようになった原因について、両記事が共通して挙げているのが、日本と西洋でのゲームの好みの違いだ。日本ではファンタジー世界を舞台にした作品が好まれるが、日本以外では、現実に近い舞台設定で、戦争などを生々しく再現したものが好まれるようになってきている、という。

 また日本では、WiiやDSといった軽量級のゲーム機の人気は高かった一方で、PS3やXbox 360といった高機能モデルはそれほど人気が集まらなかった。そして日本のゲーム開発者も、これら高機能ハードへの習熟が遅れた、とヴァージは伝える。PS4の日本での発売を遅らせた理由について、SCEワールドワイド・スタジオの吉田修平会長は、日本のゲーム業界でPS4での開発態勢が整っていなかったためだ、と語ったことをガーディアン紙は伝えている。

 それ以外に、日本の経済状況もゲーム業界への逆風となった、と同紙は述べる。開発コストが上昇する一方、国内市場は縮小しているため、コストの回収が難しくなっている。そのため制作会社は保守的になり、かつてのような奔放なゲーム作りは鳴りを潜めている、とヴァージも指摘する。

【ゲーム業界の世界的ムーブメント、インディーズゲームとは】
 開発コストの上昇は、日本だけの問題ではない。大作になると、数十億円規模の予算も、昨今まれではないという。このような状況に対抗して、アメリカとヨーロッパでは、インディーズゲームの本格的なブームが到来しているという。

 インディーズゲームは、ネットを通じて比較的低額で販売される。そのため流通会社を経由しなくとも、クリエイターが直接、ゲームを市場に送り出すことができる。スマートフォンのアプリではすでにおなじみの販売形態だ。インディーズゲームは、近頃、ユーザーがゲーム機を買う最大の理由の一つになっている、とヴァージは述べる。

 日本ではゲームのレンタルが禁止されているため、中古で売買できるパッケージソフトの需要が高い。そのためゲームのダウンロード販売がさほど広まっていないという事情もあり、インディーズゲームはこれまであまり広がりを見せてこなかった。

 しかし日本でも、自由なアイディアに基づくゲーム作りができる場所として、多くのクリエイターがこの動きに加わり始めている。この3月には、京都にてインディーズゲームの祭典“BitSummit”が開催されている。日本の優れたインディーズゲームを世界に向けて発信することを企図したイベントで、今年で2回目となる。ソニーやマイクロソフトといったゲーム機メーカーも、日本にインディーズゲームの文化を根付かせようと後押しをしている。

 日本のゲームがかつての創造性のきらめきを取り戻すにあたって、インディーズゲームは最も見込みのある方策だ、とヴァージは述べている。

※タイトルの「日本のゲーム、世界シェア10%」は誤解を招く表現だったため「日本のゲーム市場、世界シェア10%」に改めました。お詫びして訂正いたします。タイトルは訂正済みです。(3/25)

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Text by NewSphere 編集部