米、日本のプルトニウムに“懸念なし” 中国の日本批判に対抗か?

 日本は、1960年代に研究目的でアメリカから提供されたプルトニウムを所有している。これに対し先月2月に中国外務省が強い懸念を表明したが、3月5日に国際原子力機関(IAEA)で開かれた会議でアメリカの代表は、アメリカは日本のプルトニウムの扱い方について懸念していないと明らかにした。

【「懸念は一切抱いていない」】
 ロイターによれば、アメリカのマクマナスIAEA担当大使は、「我々は日本がプルトニウムを不適切に扱ったり、返還予定がなくなったりするなどの懸念は一切抱いていない」とコメント。また、プルトニウムは1960年代に研究目的でアメリカから提供されたもので、今月ハーグで開かれる核安全保障サミットにて、アメリカ、日本の両国はプルトニウム返還に関する合意に達するであろう、との文部科学省の役人のコメントも紹介した。

【中国は改めて懸念を表明】
 一方、中国共産党機関紙、人民日報は、アメリカのマクマナス大使の発言には触れず、同会議での中国代表の発言を伝えている。同紙によると、中国の成競業国連ウィーン常駐大使が、兵器級プルトニウム300kg、兵器級ウラン200kgをアメリカに返却することを日本が拒んでいることに関して中国は大きな懸念を抱いている、とコメントした。

 また成競業大使は、「日本が多くのプルトニウムを保持しているということは、プルトニウムの供給と需要のバランスを強調している、IAEAによるプルトニウム管理に関するガイドラインと明らかに一致しないものである」、「多くの核物質や核施設を所有している核兵器非保有国を、IAEAは、厳格で効果的な方法で監視し続けるべきだ」と述べた。

【年間2000個の核爆弾を製造可能?】
 米公共放送のPBSニュースアワーは、日本の、巨大な再処理工場の再稼働計画に関して今年初めにオバマ政権が懸念を抱いていていたこと、再処理工場の再稼働により、中国や韓国といった近隣諸国に深刻な影響を与えるだろう、とのアメリカによる日本への警告について言及した。また、日本政府は再処理工場は平和利用のためのみであると述べているが、年間2000個の核爆弾を製造できるほどのプルトニウムを生産することが可能であると伝えている。

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Text by NewSphere 編集部