任天堂、特許訴訟で相手の全特許を取得 背景にあるパテントトロール問題とは?

 任天堂に対して特許権侵害訴訟を起こしたアメリカのIA Labsが、裁判に敗れた末、自社の持つ特許をすべて任天堂に譲り渡すこととなった。

【一体何が起こったのか?】
 同社の前身、Interactive Labsは、『Kilowatt Sport』『Exer-Station』など、エクササイズ器具がセットになったフィットネスゲームを過去に製造している。IT情報サイト「ザ・レジスター」の報道によると、同社の特許を引き継いだIA Labsは、2010年、任天堂に対して訴訟を起こした。任天堂の『Wii Fit』などが、エクササイズ器具やセンサーに関する同社の特許を侵害している、との主張を行った。

 しかし、2012年、裁判所は同社の主張を退けた上、弁護士費用を含めて、任天堂側が裁判に要した費用の一部を負担するよう、同社に命じた。同社はこれを不服として控訴したが、2013年6月、控訴審においても敗訴した。その際、控訴審にかかった追加の費用も、合わせて負担するよう命じられている。

 IA Labsが任天堂に対して、この支払いを行わなかったため、判決の執行に権限を持つ保安官が、同社の残資産の公売を命じたと、技術情報サイト「ベンチャービート」が伝えている。この公売において、任天堂は、返済の一部として、IA Labsの所有する特許をすべて取得した。

 IA Labsはこの敗訴によって破たんしたという。

【「パテントトロール」とは?】
 「ベンチャービート」は、任天堂(のアメリカ子会社)が、プレスリリースの中で、IA Labsを「パテントトロール」と名指ししていることに注目する。通常、特許は、自社製品が他社にコピーされるのを防ぐなどの目的で保持される。「パテントトロール」の場合は、自社より成功している他社に訴訟をしかけて、多額の和解金や賠償金をせしめるもくろみで多数の特許を保持している、と同サイトは説明する。「パテントトロール」は日本では「特許ゴロ」とも呼ばれる。

 今回のケースでは、任天堂が裁判に要した費用のうち、弁護士費用まで、IA Labsが負担するよう命じているが、実はこれは異例である。特許訴訟ではとくに多額の費用がかかりやすいため、企業が訴えられた場合、勝訴であっても負担が大きくなる。そのため、“現実的な選択”として、企業はあえて示談を選択することもあるという。

【「パテントトロール」を防ぐ方法はないのか?】
 特許制度の悪用ともいえる「パテントトロール」は、アメリカでは近年、社会問題として注目を集めている。

 「ベンチャービート」によると、昨年10月、アメリカ合衆国下院司法委員会のボブ・グッドラット議長は、「パテントトロール」対策の法案を議会に提出した。その法案では、訴えを起こす側は、訴訟手続きの段階で、法廷で主張する内容について詳述することが求められる。さらに、敗訴した場合は、自分たちの主張が、根拠のある、正当なものであったことを証明しなければならない。それに失敗した場合は、裁判に要した費用を、相手側の分まで負担しなければならない、という厳しい内容だ。「パテントトロール」に、訴訟を起こす前に、良く考えさせるのが目的だという。

 この法案は、昨年12月、下院において、党の壁を越えて、賛成多数で可決された。今後、上院での可決が待たれているという。

パテントトロール―特許マフィアに狙われた日本企業の行方

Text by NewSphere 編集部