Google+、満を持してのグレードアップ Facebookの牙城を崩せるか?

 Googleは現地時間10月29日、サンフランシスコの倉庫NWBLKに報道陣と参加者らを集め、統合メッセージングサービス「Hangouts」(ハングアウト)とソーシャルサービス「Google+」の大刷新を発表した。多数の新機能は今後、段階的に提供していくとしている。

 海外各紙は、新サービスの内容や可能性に踏み込み、Googleの新たな挑戦の行方を占った。

【崩せるか、Facebookの牙城】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、今回のグレードアップを「何億人ものアンドロイド携帯ユーザーを味方につけて、ユーザーをFacebookからGoogle+に引き抜こうとしている」と評した。その目玉は、なんといっても、「写真活用術の革新」に尽きるという。その充実ぶりには、「The Verge」を筆頭に、各メディアとも「革新的とはいえないまでも、利便性が高い」と評価し、ユーザーの心をつかむ強い可能性を示唆している。

【Google+の写真機能の進化】
「保存、整理、編集、共有を容易にする」ことを主眼とする今回のGoogle+の写真・動画機能の強化内容は以下の通り。

1. iOSアプリでもAndroidと同様に、フルサイズの写真をバックアップし、バックグラウンドでの同期ができるようになる。これまで、Androidユーザーに高い評価を得てきた、写真の自動的・無制限なクラウド保存機能をiOSアプリにも拡げることで、ユーザーの幅を拡げる狙いだとみられる。

2. Googleの画像認識機能による、高度な画像検索機能の追加。1000個を超えるオブジェクト(「雪」のような名詞から「ハグ」「キス」などの行為まで)をキーワードにして検索できるようになる。なにより画期的なのは、ウェブページにアップもタグ打ちもしていない自分の写真アーカイブから、画像認識で検索できるようになることだ。

3. 画像の自動調整機能を写真ごと、アルバムごとに調整できるようになる

4. Google+の「Auto Awesome」(おまかせビジュアル)に「アクション」「消しゴム」「ムービー」機能が加わる。「アクション」は、連続して動いている人物の複数枚の写真を結合して、一連の動きを1枚に収めたアクションショットを作成する機能。「消しゴム」は、同じ場所で写した3枚以上の写真があれば、差分から自動的に動くものを識別して取り除く効果。たとえば、観光地の記念写真などから邪魔な通行人を消せる。「ムービー」はユーザーが選択した動画や写真から、それらを組み合わせたショートムービーを自動作成する機能だ。

 いずれも「時間さえあれば…」と山のような保存画像を後目にため息をつく現代人には、福音となりうる便利な機能だという。

【写真以外の新機能も】
 ハングアウトの新機能としては、1タップで現在地のマップを送信してロケーションを共有できること、SMS (ショートメッセージサービス)の送受信、GIFアニメーションのインライン再生などがサポートされることが挙げられた。また動画チャット機能が強化され、従来、場合によってはかげりやすかった人の表情がよりクリアに表示される。

 さらに、iOS / Android のSnapseed アプリが更新され、新フィルタ HDR Scapeが追加される。プロ向けのフィルタ NIK Collection では、新エフェクト Analog EFEX PROが追加されるという。

【ユーザー数は急増中】
 会場は、ユーザーらが撮影した写真がギャラリーさながらに壁を彩った。それを背景に、ソーシャル・ネットワーク担当のヴィック・ガンドトラ上級副社長は、ユーザーのGoogle+の進化への関心は急速に高まっている、と胸を張る。同社によれば、Google+のアクティブ・ユーザーは5月の3億9000万人から5億4000万人に増加。「インストリーム」ユーザー(メインのニュースページやフィードを頻繁に参照するユーザー)も、1億9000万人から3億人に「急増」したそうだ。

 フォーブス誌は、それでも「Facebook」には見劣りがする、と評した。その上「大切なのは、より“ソーシャル”の度合いを増していることだから」と1日当たりのアクティブ・ユーザーの数を明らかにしない姿勢をちくりと皮肉ってもいる。Google+の目下の躍進は「これから」どうなるか。ユーザーの審判に注目が集まっている。

Text by NewSphere 編集部