TPP目前 クラウドサービスは日本農家を救うカギとなるか?

 米国の農場の平均面積は449エーカー(約180ha)。小規模農場を除けば、3,743エーカー(約1500ha)にもなる。これは、実にマンハッタン島の4分の1に匹敵する。

 一方、日本の平均的な農地面積はわずか5エーカー(約2ha)。米国では農業管理のIT化が進み生産性が向上しているといわれるが、日本では生産性の低さが課題だと海外メディアが報じている。

【富士通の農業IT革命】
 CNETは、富士通が開発した、農家の生産性を高めるクラウドのソフトウェアサービス「食・農クラウド Akisai(秋彩)」に注目した。

 同社のHPによると、農作業計画・実績の集計・分析、グリーンハウスなど諸施設のリモートコントロール、グーグルマップを使用しての放牧の管理などが可能となる。

 ダイヤモンド・オンラインの三輪泰史氏の記事によると、これらのサービスは、屋外の農地にセンサーを設置して管理する点が特徴的。栽培履歴や環境データから、作付に適したブロックを選ぶことができ、農産物の品質についても予測が立つとのことだ。

 なお価格は、基本的なデータや固定カメラの購入で20万円、リモートコントロール機能付きで100万円。

【取材記者の分析】
 CNETは、「食・農クラウド Akisai(秋彩)」は、農業をビジネスとして継続させるために必要なツールと報じている。「Akisai」のように、簡単にデータにアクセスでき、農業を管理できるクラウドサービスを欲しがらない農家はいないのではないか、と評価している。

 ただ、唯一の疑問は、本当に農家の人たちが「Akisai」を手にすることができるかということだが、他の発展した産業を見る限り、このようなサービスを導入しないわけにはいかないだろうとみている。

【他企業の試み】
 他にも、NECは、グリーンハウスのセンサー情報を監視し、クラウドにデータを蓄積するサービス「農業ICTクラウドサービス(アグリネット)」を展開。日立やNTTコミュニケーションズなども同様のサービスを提供している。こうしたサービスが普及することで、日本の農業の生産性向上につながるのか、注目される。

Text by NewSphere 編集部