リクシル、4000億円で独住設大手を買収か? そのねらいとは

 LIXIL(リクシル)グループがドイツの浴室備品大手グローエを40億ドル(約4000億円)超で買収する方向で協議していることが、関係筋の話でわかったとロイターなどが報じた。早ければ週内にも合意を発表する可能性があるという。

 グローエを所有する、米投資ファンドのTPGキャピタルと金融大手のクレディ・スイスグループは4月から、グローエ売却と新規株式公開(IPO)を並行して検討していたという。

 リクシルは「買収の可能性は排除しないが、何も決定していない」としている。

 グローエの広報担当者は「売却やIPOなどのプロセスが継続中」だと述べ、それ以上のコメントを控えた。

【今後の動きは?】
 ロイターは、早ければ26日にもグローエがIPOを始める可能性があると報じた。

 関係筋の1人は「たとえ週内にIPOの申請手続きに入っても、両方の選択肢が残る」と語ったという。株式上場は通常、上場意思の開示後約4週間かかるため、その間もM&A交渉が続くだろうとの見解だ。

 また、当初グローエ買収に興味を示していた、スイスの衛生器具大手ギーベリッツ、米フォーチュン・ブランズ、ブラジルのデュラテックスは買収プロセスから撤退したと同紙は報じた。

【リクシルの狙い】
 リクシルは、トステムやINAXブランドを持つ、日本最大の住宅・建材グループ。2011年に社長に就任した藤森義明氏は、積極的な買収で有名なGE(ゼネラル・エレクトリック)社の元幹部である。3月末の純売上高は1.4兆円に達している。

 ただ、その大部分は日本からで、海外の売上はたった14%だとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘した。同社は先月、海外提携や買収に取り組み、海外事業の売上高を1兆円に倍増する方針を示している。

 一方、資金をどのように捻出するのかという、JIアジアリサーチのアナリストの疑問をブルームバーグは掲載した。同紙がまとめたデータによると、リクシルグループの3月末の長期借入金は2850億円だという。

【これまでの大型買収】
 日本企業は人口減少や飽和市場に直面しており、成長のため海外展開に目を向けてきている。

 記憶に新しい大型買収として、ソフトバンクが7月、米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収。サントリー食品インターナショナルは今月、22億ドルで英国グラクソスミスクライン社の2飲料ブランドを買収した。

Text by NewSphere 編集部