韓国地裁、金正恩氏に賠償命令 爆破で与正氏告発も 南北関係さらに悪化か

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◆告発の目的は
 韓国の刑法は、爆発物により人間あるいは財産に被害を与え、公共の安全を乱した場合、最大で死刑または無期懲役を課すと定めている。しかし相手が北朝鮮の要人とあって、今回の告発が実際の刑に結びつく可能性はきわめて低い。聯合ニュースは、証拠収集が困難であるとして韓国の検察が起訴しない可能性があるほか、仮に裁判で有罪となっても韓国内で2人に刑を執行する手立てがないと指摘している。

 そこで、実質的な成果を挙げる手段として、ここでもワームビア方式が浮上している。朝鮮日報は、この方式で被害を賠償させるべきだとの声が韓国政界の一部から上がっていると報じている。北朝鮮に隣接する京畿(キョンギ)道の元知事である金文洙(キム・ムンス)氏は、韓国として弁護士を選任すべきであり、金正恩氏に対しても損害賠償請求訴訟を起こすべきだとの意見を表明した。ほかにも韓国国内では複数の現職議員が、アメリカで成果を挙げたワームビア方式で係争すべきだと訴えている。

◆懸念の南北関係
 強制労働の訴えと連絡事務所爆破の告発に共通して、韓国国内紙の報道としては、賠償の必要性に言及したものが目立つ。一方で、北朝鮮を刺激することは、南北関係のさらなる悪化に結びつく危険性をはらむ。

 2018年には南北首脳会談が実現し、文大統領が金委員長とトランプ大統領との会談の橋渡し役となるなど、南北間の穏やかな関係が続くかに思われた。しかし、妹の金与正氏が政界での存在感を示すようになったことや、南の活動家が反北朝鮮のビラを散布したことなどにより、関係は急速に冷え込んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙は、連絡事務所爆破に関する告発は主として象徴的なものだと分析している。しかしながら北の怒りを買うことになれば、南北関係のさらなる悪化を招きかねないとし、同紙は懸念を示している。

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Text by 青葉やまと