本質的な国の豊かさ測る「人間開発指数」、日本は最良グレード 順位はダウン
◆格差解消に課題残る
2022年のランキング上位はスイスやノルウェーなど、ヨーロッパ諸国が占めた。4位に香港、9位にシンガポールと、一部のアジアの国もトップ10入りを果たした。
躍進の国がある一方、UNDPは格差の拡大を懸念している。人間開発報告書を通じ、豊かな国々が前例のない発展を遂げる一方、世界の最貧国の半数はコロナ以前の水準を下回り続けている、と指摘した。
UNDPのシュタイナー総裁はプレスリリースで、「気候変動やデジタル化、貧困や不平等を改善するための(世界を挙げた)集団としての行動が失敗しており、これは人類の発展を妨げるだけでなく、二極化を悪化させ、世界中の人々や制度に対する信頼をさらに損なうことになります」と警鐘を鳴らす。
UNDP人間開発報告書室のペドロ・コンセイソン室長は、世界銀行ブログへの寄稿を通じ、パンデミックの影響で2020年から2021年にかけ、世界の90%の国々でHDIが悪化したと述べている。日本については同期間で0.923から0.925にわずかながら改善しており、希有な例となった。
コロナ収束後のHDIの傾向についてコンセイソン氏は、世界的には「2023年も改善が続くと予測されている」と、明るい予測を提示した。
一方、コンセイソン氏も国別の格差を指摘する。経済協力開発機構(OECD)加盟国ではすべての国が2023年までに2019年以前のHDI値に回復すると予想される一方、後発開発途上国では半数しか同レベルに回復しない見込みだという。持続可能な開発目標(SDGs)に謳われる「誰一人取り残さない(leave no one behind)」の実現に向け、格差の是正が課題であると指摘した。