EUの900億ユーロ融資、ウクライナにとってなぜ重要な「命綱」なのか
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資金難に陥っているウクライナは、欧州連合(EU)から極めて重要な融資を確保した。これは、今年の戦時対応を維持するための不可欠な命綱となる。
900億ユーロ(約16兆8千億円)の支援策は23日に正式に承認された。これは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ドルジバ・パイプラインのウクライナ区間が修復され、資金放出の条件とされていたスロバキアおよびハンガリーへの石油供給が再開されると発表した数日後のことである。
加盟27カ国からなるEU内部での政治的摩擦により、承認は数カ月間滞っていた。この摩擦には、EU内でロシア政府に最も近い同盟国と広く見なされている、退任予定のハンガリーのヴィクトル・オルバン首相の抵抗も含まれていた。オルバン首相が今月上旬の選挙で敗北したことで、交渉の突破口が開かれた。
EUの支援策の重要性を整理する。
◆なぜキーウは融資を必要としているのか
資金は極めて重要なタイミングで到着する。国際通貨基金(IMF)は、ウクライナが今後2年間で約1360億ユーロ(約25兆4千億円)の資金不足に直面すると推計している。
EUの融資は、2026年および2027年におけるウクライナの資金需要の約3分の2を賄うと見込まれている。当局者は、この融資がなければ、キーウは早ければ今春にも基本的な国家機能や戦時対応を維持するための資源が枯渇していた可能性があると警告している。資金の第1弾は今後数カ月以内に放出される見込みだ。
ウクライナは、今年の残りの期間に450億ユーロ(約8兆8千億円)、さらに2027年通年で450億ユーロ(約8兆8千億円)を利用できるようになる。
合意に基づき、資金の約3分の1はウクライナ政府の予算支援に充てられ、残りは防衛分野に振り向けられ、武器調達や国内の兵器生産拡大に充てられる。
◆なぜこれほど時間がかかったのか
EU首脳は2025年12月に融資に合意したが、ドルジバ石油パイプラインのウクライナ関連区間を巡る対立により、実施は数カ月間停滞していた。
12月、チェコ、ハンガリー、スロバキアは、3カ国が参加を強いられない限り、他のEU加盟国が国際市場で資金を借り入れることを阻止しないことで合意した。
ロシアの石油をスロバキアとハンガリーに運ぶこのパイプラインは、ロシアの攻撃で損傷したとウクライナ当局が発表した後、1月下旬に停止した。ハンガリーおよびスロバキア政府は、ウクライナが意図的に供給を遮断したと非難し、この問題はEU内部でのより広範な政治的対立へと発展した。
ハンガリーとスロバキアが今週、ウクライナが輸送を回復させたと表明したことで、融資の凍結はようやく解除された。ゼレンスキー大統領は修復が完了したと述べ、承認に向けた最後の障害が取り除かれた。
23日に踏み出された最終段階は、将来の支出を可能にするためにEUの長期予算の変更を全会一致で承認することだった。これが、ハンガリーとスロバキアの賛同を得る必要があった理由である。
◆融資はどのように返済されるのか
EU首脳は、ロシアが戦争賠償金を支払って初めて、ウクライナが融資の返済を開始するとの方針で合意した。
加盟国は、ロシアの凍結された中央銀行資産を融資の保証に充てるのではなく、より慎重なアプローチを選択した。その代わりに、欧州の首脳は資金を借り入れてウクライナに貸し付けることを決定した。
ロシアによる報復の可能性や法的課題への懸念から、ロシア政府が戦争を終結させ、引き起こした破壊についてウクライナに補償するまで、資産を凍結したまま維持する方針とした。
By SAMYA KULLAB Associated Press




