中国企業、イラン戦争で「米軍の動き」追跡 AIで公開情報を解析 WP報道
空爆を受け、煙が立ち上るイランの首都テヘラン(3月2日)|Mohsen Ganji / AP Photo
中国の民間AI企業が、公開情報を使ってアメリカ軍の動きを把握できると売り込んでいる。米紙ワシントン・ポストによると、衛星画像や航空機の飛行追跡データ、船舶データなどをAIで解析し、中東のアメリカ軍基地の装備配置や空母打撃群の移動を示す投稿が、中国語圏と西側のSNSで拡散した。
同紙が代表例として挙げたのが、2021年創業の杭州拠点企業ミザービジョン(MizarVision)である。同社は中国軍の組織ではないものの、人民解放軍向けサービス企業に求められる国家軍事規格の認証を保有しているという。ワシントン・ポストは、同社が西側と中国のデータを組み合わせ、アメリカ軍基地の活動や艦隊の動き、航空機やミサイル防衛システムの位置と数を把握していると報じた。
背景には、中国政府の民軍融合政策がある。同紙によると、中国政府は防衛用途を持つAI企業に数億ドル規模の支援をしており、直近にはその取り組みを加速させる方針も打ち出した。民間のAI解析能力を軍事分野に接続する動きが強まっている形だ。
一方で、その実力には慎重な見方もある。アメリカ当局者や元情報分析官の一部は、中国企業がアメリカ軍のステルス通信などを実際に突破しているとの見方に懐疑的だ。ただ、公開情報とAIを組み合わせた監視サービスの拡大そのものが、安全保障上の新たなリスクになっているとの警戒は強い。
データの出所もなお不透明だ。ワシントン・ポストは、ミザービジョンが使う画像にアメリカや欧州の商用衛星画像が含まれているように見えると報じたが、米衛星画像大手Vantorは中国向け販売を否定し、Planet Labsも同社は顧客ではなく、イラン戦争中に投稿された画像は自社衛星由来ではないと説明した。




