東アジアを揺るがす中東戦争 揺れる米同盟国、好機狙うライバル国
Eugene Hoshiko / AP Photo
中東で戦争が拡大する中、アジアにあるアメリカの同盟国やライバル国は、経済的な衝撃や長期的な安全保障上の脅威など、紛争の影響に備え始めている。
中東での戦闘が、北朝鮮、韓国、日本、中国にどのような影響を及ぼしているのかを見ていく。
◆北朝鮮
先月開かれた重要な政治会議で、北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、深刻な孤立と資源不足に直面しているにもかかわらず、数十年にわたる核兵器開発の追求は「正しい」選択だったと強調した。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は、その認識をさらに強めることになりそうだ。
北朝鮮の指導部は、イランの最高指導者が死亡した攻撃を不安を抱きながら見守っていたとみられる。この攻撃は、1月にアメリカが実施した作戦でベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した出来事に続くものだった。
北朝鮮外務省は、イランへの攻撃を違法であり、主権に対する「最も卑劣な」侵害だと非難した。ただし、アヤトラ・アリ・ハメネイ師の死亡については言及しなかった。
韓国の統一研究院の分析官、ホン・ミン氏は、北朝鮮の指導部を排除するために同様の攻撃を行う場合、はるかにリスクが高く、成功する可能性も低いと指摘する。
イランとは異なり、北朝鮮は核開発をすでに実現している。その兵器庫には数十の核弾頭が含まれ、アジアのアメリカ同盟国を射程に収めるさまざまな運搬手段や、アメリカ本土に到達可能とされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)も保有している。一度の先制攻撃で北朝鮮の戦力を完全に排除することは難しく、生き残ったシステムが韓国、日本、あるいはアメリカを攻撃する可能性も残る。
戦争開始後、初めて公の場に姿を見せた先週、金総書記は新型軍艦の海上試験と、国営メディアが核搭載可能としている巡航ミサイルの試験を視察した。アナリストの一部は、ハメネイ師の死亡やアメリカによるイラン海軍資産の撃沈を受け、自国の軍事力を誇示する狙いがあった可能性があるとみている。イランとは異なり、自国の艦船は核弾頭を搭載できるというメッセージを示したとの見方もある。
北朝鮮への攻撃は、中国やロシアというアメリカの主要なライバルに地理的に近接している点でも複雑になる。金総書記は地域での影響力を高めるため、中国やロシアとの関係を強化している。
イランとベネズエラに対するアメリカの軍事行動はいずれも、交渉が続く中で実施された。これが北朝鮮の対米外交にどう影響するかについて、専門家の見方は分かれている。米朝外交は2019年、金総書記とドナルド・トランプ大統領の首脳会談が決裂して以来、停滞している。
2月の与党党大会で金総書記は、アメリカとの対話の可能性を残しつつ、交渉再開の条件としてアメリカが北朝鮮の非核化要求を撤回すべきだとの従来の主張を繰り返した。
ホン氏は、金総書記がこの立場を維持する可能性が高い一方、イラン攻撃によってアメリカへの不信感が強まり、交渉の条件がさらに厳しくなる可能性があると指摘する。
一方、ソウルの梨花女子大学のパク・ウォンゴン教授は、未解決の外交関係そのものがリスクとなり、金総書記がトランプ氏との合意を急ぐ必要性を強く感じる可能性もあると指摘した。
韓国当局者は、3月後半から4月に予定されているトランプ氏の訪中が、北朝鮮との交渉の糸口になる可能性があるとの見方を示している。
◆韓国
貿易と輸入燃料への依存度が高い韓国は、イランによるエネルギーインフラ攻撃や、世界の石油取引の約5分の1が通過するホルムズ海峡を閉鎖しようとする動きに警戒を強めている。
この戦争はまた、韓国でアメリカとの同盟に対する不安も高めている。トランプ政権が、同盟国との広範な調整を行わずに軍事行動を取る姿勢を示しているためだ。
アメリカは何十年もの間、同盟国に対して核を含む全面的な軍事的保護を約束し、北朝鮮を抑止するため韓国に約2万8000人の兵士を駐留させてきた。大幅な縮小の可能性は低いものの、韓国は今後、朝鮮半島以外の地域も含め、アメリカの単独行動によって引き起こされる可能性のある紛争に巻き込まれるリスクを考慮する必要があるとホン氏は指摘する。
ホン氏は「台湾であれ、北朝鮮であれ、あるいはアメリカと中国の競争であれ、トランプ政権が同盟国への影響を十分に考慮せず、過度に攻撃的な決定を下すのではないかという懸念が韓国では長く存在してきた。その懸念はいま、より現実味を帯びている」とし、韓国はさまざまなシナリオの下で「自国が取り得る行動を明確に定義する必要がある」と述べた。
◆日本
アジアの主要なアメリカ同盟国の一つである日本も、トランプ氏の攻撃的な軍事行動を警戒し、ホルムズ海峡の混乱を懸念している。
日本大学の福田充教授は、日本政府はイランの核開発を抑制しようとするアメリカの取り組みを支持してきたものの、今回の戦争はその正当性に疑問を投げかけ、同盟国としてのアメリカの信頼性への懐疑を生んでいると指摘する。
高市早苗首相や政府高官らは、アメリカとイランの交渉を強く支持する一方、アメリカとイスラエルによる攻撃への支持表明は避けた。日本政府は軍事介入に関心を示していないが、一部の専門家は、この紛争が高市首相の進める軍備強化や武器輸出拡大を後押しする可能性があるとみている。
覇権的な動きを強める中国や北朝鮮への懸念の中、アメリカの核抑止力は依然として日本の安全保障にとって極めて重要だ。ロシアによるウクライナ戦争を含む世界的な混乱により、日本自身の核保有を巡る議論が再燃しているものの、法的・政治的制約のため国内の支持は依然として低い。
◆中国
釜山の釜慶大学のソ・チャンベ教授は、中国はイラン戦争を、中東でより積極的な役割を築く機会と捉える可能性があると指摘する。アメリカより信頼できる仲裁役として振る舞うことで、影響力を高めようとする可能性があるという。
専門家によれば、中国にとって主要な石油供給国であるベネズエラとイランでのアメリカの軍事行動は、中国をけん制する意図があると中国が受け止める可能性がある。
中国は湾岸諸国との貿易や技術面での結びつきを拡大させる一方、地域での影響力を強めようとしてきた。その象徴が、2023年にイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介した合意だ。これは、中国が世界的な影響力を拡大し、ドル中心の金融秩序に挑戦しようとする広範な動きの一環でもある。
ソ教授は、中国が地政学的な「波及的利益」を追求する可能性がある一方、紛争が長期化すれば中国の貿易利益を損なうことになると指摘した。また、中国はアメリカの軍事能力を研究し、軍への人工知能(AI)の導入を加速させる可能性があるとも述べている。
By KIM TONG-HYUNG Associated Press




