拘束の韓国人300人超、帰国へ 米ヒョンデ工場、移民当局が摘発

4日、ジョージア州にあるヒョンデのEV工場で摘発された従業員(ICE公開画像より)
Corey Bullard / U.S. Immigration and Customs Enforcement via AP

 韓国政府は7日、アメリカ・ジョージア州のヒョンデ工場で大規模な移民当局の摘発後に拘束された韓国人労働者300人以上を解放し、帰国させる見通しだと発表した。

 李在明(イ・ジェミョン)大統領の秘書室長、姜勲植(カン・フンシク)氏は、拘束者の解放をめぐる韓米間の交渉が最終合意に達したと説明した。残る行政手続きが終わり次第、韓国政府はチャーター機を手配して速やかに帰国させる方針だという。

 韓国外務省は、拘束者全員が自発的に帰国できるよう、ソウルとワシントンで詳細を詰めていると明らかにした。趙顕(チョ・ヒョン)外相は8日午後に渡米し、解放に関する協議を行う予定だ。

 アメリカ移民当局は5日、ジョージア州にあるヒョンデの広大な製造拠点に数百人の連邦捜査官を投入して急襲し、475人を拘束したと発表した。大半は韓国籍だった。捜査は、ヒョンデがLGエナジーソリューションと組み、電気自動車(EV)用電池を生産するために建設中の工場に焦点を当てて行われた。趙外相は、拘束者のうち300人以上が韓国人だと述べた。

 今回の作戦は、トランプ政権が進める大規模な国外退去方針の一環として続けてきた職場摘発の最新例だが、規模の大きさに加え、対象施設が「ジョージア州史上最大の経済開発プロジェクト」と喧伝されてきた点で、特異な事例となった。

 韓国がアメリカの主要な同盟国であることから、摘発は韓国世論に衝撃を与えた。両国は7月、韓国がアメリカのエネルギーを1000億ドル規模で購入し、アメリカ国内に3500億ドルを投資する代わりに、アメリカが関税率を引き下げることで合意していた。約2週間前には、ドナルド・トランプ大統領と李大統領がワシントンで初の首脳会談を行っている。

 トランプ氏は7日夜、アンドルーズ空軍基地で、韓国人労働者がアメリカ市民に電池やコンピューター製造の技能を教える枠組みの可能性に言及した。「今この国には電池についての知識を持つ人材が十分ではないのだから、韓国から人を呼び、わたしたちの人材を訓練してもらうべきだ」と述べ、「訓練の方法は、分かっている人を一定期間受け入れ、滞在させて教えてもらうことだ」と語った。

 李大統領は、アメリカの法執行過程において、韓国国民の権利や韓国企業の経済活動が不当に侵害されてはならないと強調した。韓国外務省も別途声明で「懸念と遺憾」を表明し、現地に外交官を派遣した。

 アメリカ移民・税関執行局(ICE)が6日に公開した映像には、車列が工場に乗り付け、連邦捜査官が労働者を外に整列させる様子が映っている。拘束者の一部はバスに手をつかされて身体検査を受け、手錠や足枷、腰の拘束具を付けられた。

 拘束者の多くは、フロリダ州境に近いジョージア州フォークストンの移民収容施設に移送された。刑事事件での訴追はまだ行われていないと、ICE傘下の国土安全保障捜査局(HSI)のジョージア州責任者、スティーブン・シュランク特別捜査官が5日の会見で述べ、捜査は継続中だと説明した。

 捜査当局によると、拘束者の一部は不法に国境を越えて入国しており、ほかは合法的に入国したもののビザの期限が切れていたか、就労を禁じるビザ免除制度で入国していたという。

 姜秘書室長は、アメリカへの投資事業に伴う出張者のビザ制度について、韓国側で見直しと改善を進める方針を示した。

Text by AP