次世代戦闘機F-47、ボーイングとロッキード製Xプレーンで5年間の秘密飛行実験

F-47戦闘機のイメージ画像|U.S. Air Force via AP

 アメリカのトランプ大統領は、空軍の次世代戦闘機「F-47」の開発契約をボーイングと結ぶと発表した。F-47は第6世代戦闘機として、F-22やF-35といった現在の第5世代機を上回る性能を持つ。開発段階では5年以上にわたる非公開の飛行テストが行われ、そこで培われた技術が活かされているという。

◆「画期的な飛躍」と声明
 トランプ大統領が21日、ピート・ヘグセス国防長官と共にホワイトハウス大統領執務室で空軍の次世代戦闘機F-47に関する発表を行った。ニューヨーク・タイムズ紙(21日)によると、トランプ氏は自身が第47代大統領であることから「47は素晴らしい数字だ」と述べたという。
 
 同席したデビッド・W・アルビン空軍参謀総長は、同日出した声明でF-47を、「今後数十年にわたりアメリカの空中優位を確保する画期的な飛躍」と評価した。
 
 大統領執務室に展示された画像からは、F-47の特徴的な機体デザインが読み取れる。三角形で平たい機首、黒く光るコックピット、わずかに上向きの主翼が特徴的だ。最先端のステルス技術と空力設計を取り入れたものと見られる。

◆2019年から飛行実験
 ボーイングとロッキード・マーティンは、米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)との研究開発契約の下、次世代制空(NGAD)プラットフォームのリスク低減を目的として、2機のXプレーンを設計した。これらの航空機は、それぞれ2019年と2022年に初飛行し、それぞれ数百時間の飛行を記録している。
 
 米軍事メディア『ウォー・ゾーン』(23日)によると、開発過程では、両社ともデジタル設計技術と最新の迅速製造手法を取り入れた。この方式の導入によって、従来の航空機開発と比べて柔軟で効率的な設計が可能となり、開発期間を短くし費用も抑えられた模様だ。

 アルビン空軍参謀総長は声明で、「過去5年間、この航空機のXプレーンはひそかにF-47の基盤を築いてきた。数百時間の飛行を行い、最先端のコンセプトをテストし、技術の限界を超えることができることを示した」と述べた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、現行の双発エンジン機F-22はマッハ1.5を超える速度で巡航でき、最大でマッハ2まで加速できる。一方、トランプ氏はF-47の速度性能について「最高で『2以上』」と発言した。「マッハ2」を意味する。

◆ステルス性能に自信、「事実上見えない」
 ニューヨーク・タイムズによると、ステルス性能に関してトランプ氏は、F-47は「事実上見えない」と表現した。敵のレーダーから探知されにくい高度なステルス技術を搭載していることを意味する。また「同種のジェット機のなかで、かつてない強さを持つ」とも述べ、その優れた戦闘能力を強調した。
 
 また、アルビン空軍参謀総長は声明で、F-47が「世界初の有人第6世代戦闘機」になると明言している。F-22ラプターより製造コストが抑えられるため、空軍はより多くの機体を調達する計画だという。空軍の公表データでは、現在183機のラプターが運用されており、1機あたり1億4300万ドル(約214億円)の価格だ。
 
 武装や航続距離などの詳細な性能は公表されていない。ただし、F-22やF-35と同様に内部兵装庫を採用していると考えられる。この設計により、外部に武器を取り付けずにレーダーに映る面積を最小限に抑えながら、高い攻撃力を維持できるとみられる。

Text by 青葉やまと