「高関税、制裁課す」トランプ氏のロシアへの脅し、効果なしの可能性大
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は22日、ウクライナ戦争を終結させる合意が成立しない場合、ロシアに対して厳しい税金、関税、制裁を課すと警告した。この警告はロシア政府では無視される可能性が高い。アメリカはすでに事実上すべてのロシア製品の輸入を禁止しており、ロシアは侵攻開始からほぼ3年が経過した今、アメリカとヨーロッパによる多くの制裁に直面している。
トランプ氏は22日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ロシアのプーチン大統領に対し「今すぐ解決し、この馬鹿げた戦争をやめるよう」求めた。
トランプ氏はロシアを傷つける意図はないと述べ、第二次世界大戦でナチス・ドイツに対する連合国の勝利を確保する上でロシアが重要な役割を果たしたこと、プーチン氏と良好な関係にあることに言及。しかし、この戦争が早期に終結しない場合には制裁措置を取ると警告した。
「もし『合意』が成立しない場合、ロシアとその協力国からアメリカに輸出されるすべての商品に高い税金、関税、制裁を課さざるを得なくなる」と述べた。
トランプ氏は、バイデン政権がウクライナに提供した数十億ドル規模の武器やその他の物資に懐疑的であり、戦争を終わらせたい意向をたびたび表明してきた。選挙期間中に、大統領就任後24時間以内に戦闘を終結させることができると主張していたが、それは実現していない。
しかし、この脅しには問題がある。ロシアは現在、少量の肥料、家畜飼料、スズなどの無機材料、機械類を除き、関税の対象となる商品はほとんどアメリカに輸出していない。かつてアメリカへの最大の輸出品であった石油も、2023年にはゼロになった。
アメリカ政府の統計によると、アメリカは2024年にロシアから28億ドル相当の商品を輸入したが、これはアメリカの総輸入額のほんの一部に過ぎず、2023年の45億ドルや2022年の144億ドルから急激に減少している。
さらに、ロシアはすでに世界で最も厳しい制裁を受けている国の一つである。これらの制裁の多くは2022年2月のウクライナ侵攻に関するもので、バイデン前大統領の下で課された。それ以外はトランプ氏1期目の任期中や、2014年のクリミア併合時に課されたものだ。
加えて、イランや北朝鮮などの「その協力国」は、ウクライナ戦争でロシアを支援していると頻繁に非難されるが、すでにさらに厳しいアメリカの制裁を受けている。
By The Associated Press