中国の最新ステルス戦闘機「J-31B」、先進技術を搭載 空母艦載機か

J-31|Danny Yu / Wikimedia Commons

 中国の航空機製造大手・瀋陽飛機工業集団は4日、第5世代ステルス戦闘機「J-31B」の詳細を動画で公開した。海外の軍事専門家らは、同機がすぐにでも就役可能な状態にあるとの見解を示している。

◆既存のFC-31をベースに、ウェポンベイを改良
 中国の最新ステルス戦闘機「J-31B」は、既存のJ-20戦闘機を補完する形で開発された。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(7月6日)は、J-31Bは元々輸出市場向けに開発されたFC-31の改良型であり、J-20と同様に第5世代のステルス戦闘機として設計されたと報じている。

 J-31Bは、J-20と比較して中型から大型の戦闘機へと進化しており、側面のウェポン・ベイが特徴的だ。ベイ内に少なくとも4発のPL-12中距離空対空ミサイルを搭載できるとみられる。

 ウェポン・ベイのドアは、F-22が採用していた二重設計とは異なり、単一ドア設計となっている。ベルギーのアーミー・レコグニション誌は、これによりミサイル発射後にドアを閉じることができ、ステルス性能と空力特性への影響を最小限に抑えていると指摘する。

 中国の軍事専門家であるソン・シンジー氏は、米インタレスティング・エンジニアリング誌(7月6日)に対し、「ステルス戦闘機のウェポン・ベイを開くと、レーダーに検出される可能性が高まります。そこでJ-20は独自設計により、この欠点を最小限に抑えることを目指しているのです」と説明している。

◆すぐにでも就役可能か
 J-31Bの就役については、すぐにでも可能との見方がある。サウスチャイナ・モーニングポスト紙は、中国の国営メディアが公開した動画のなかで、J-31Bがすぐに就役可能な状態であるとの注釈がついていたと報じている。

 北京を拠点とする軍事アナリストのフー・チエンシャオ氏は、同紙に対し、「FC-31からJ-31への移行は、(J-31が)軍事サービスに求められる正式な要件を満たし、公式に選定されたことを示唆しています」との見方を示した。就役に至れば、中国はアメリカに次いで、2種類のステルス戦闘機を運用する世界2番目の国となる見込みだ。

◆陸上基地か空母か…専門家の見解分かれる
 J-31Bの就役先についてサウスチャイナ・モーニングポスト紙は、陸上基地向けの戦闘機として配備される可能性が高いとの見方を取り上げている。J-31Bのノーズギア(前輪)が単輪であることから、空母搭載機というよりは陸上基地向けの設計であるとの指摘がある。軍事アナリストのシ・ホン氏は、「J-31BはPLA(中国人民解放軍)の陸上基地向けの戦闘機として配備される可能性が高い」との見方を示す。

 一方、中国の最先端の空母「福建」に搭載される可能性も否定できない。アーミー・レコグニション誌は、福建が電磁カタパルトシステムを装備していることを理由に挙げ、J-31Bの運用に適しているとの見解を示している。

空母「福建」|Pu Haiyang / Xinhua via AP

 近く就役するとみられるJ-31Bにより、中国の航空戦力はさらに強化される可能性がある。近隣国への影響にも議論が及びそうだ。

Text by 青葉やまと