ウクライナ、戦闘機Su34基地を大規模ドローン攻撃 米誌
ウクライナ軍がロシアのモロゾフスク空軍基地に対し、大規模なドローン攻撃を実施したと米メディアが報じている。モロゾフスク空軍基地はロシアのロストフ地域に位置し、Su34戦闘爆撃機(NATO名「フルバック」)が駐機している。ロシア側の戦闘機に被害が出たほか、停電の混乱が生じたとみられる。
◆シェルターと戦闘機が損傷か
攻撃は6月13日に行われたもので、ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長は14日、米ウォー・ゾーン誌に対し、攻撃には少なくとも70機のドローンが使用されたと明かした。攻撃により、空軍基地の多機能航空機シェルターが破壊され、内部のSu34戦闘爆撃機が損傷を受けた可能性がある。
同誌によると攻撃に使用されたドローンは、ウクライナ製の「ドラゴン」および「スプラッシュ」ドローンであった。ソーシャルメディアにはドローンがモロゾフスクに向かって飛行する画像や動画が投稿され、基地付近で多数の爆発音が聞こえたという情報もあったという。
モロゾフスク空軍基地は、ロシアの前線から約150マイル(約240キロ)離れた場所に位置する。米ニューズウィーク誌によると基地には、前線爆撃機Su24、Su24M、Su34が駐機している。ロシアの最先端のSu34戦闘機の重要な発進拠点であり、今年4月にもウクライナのドローン攻撃を受けているが、大規模な被害は生じていなかった。
◆パイロット6人が死亡
英テレグラフ紙によると、ロシアのテレグラムチャンネル「Rybar」は、ウクライナのドローンが低高度で飛行していたものの、ほとんどのドローンが撃墜されたと主張している。一方、ロシアのテレグラムチャンネル「Two Majors」は、攻撃によってロシア軍の6人のパイロットが死亡し、10人の兵士が負傷したと伝えている(ウォー・ゾーン)。
衛星画像は、被害の大きさを物語る。攻撃前の画像では、モロゾフスク空軍基地のシェルターと滑走路は無傷であり、複数の戦闘機が屋外に駐機している様子を確認できる。ニューズウィーク誌は、攻撃後の衛星画像では基地のシェルターが破損し、滑走路にも大きな損傷が見られると指摘する。
The aftermath of Ukraine's recent strike on Morozovsk air base in Russia is visible in new satellite imagery.
The base was last struck by Ukraine earlier this year in April. pic.twitter.com/Rccg95iIGj
— Brady Africk (@bradyafr) June 14, 2024
ウォー・ゾーン誌は、攻撃後の画像において、シェルター内部に2機のSu34戦闘爆撃機が見えると指摘する。記事は、「これらの航空機は、ある程度の被害を受けた可能性が高い。このシェルターは、ウクライナの無人偵察機の格好の標的だっただろう」と論じる。
◆周辺地域は停電
ロシアの複数のテレグラムチャンネルでは、モロゾフスクの住民から、爆発音を聞いたとの報告が上がっている。ロシアのロストフ州知事ヴァシリー・ゴルベフは、攻撃により周辺地域の電力供給が遮断されたと述べた。ニューズウィーク誌は、変電所の損傷によるものだと報じている。
前線から約240キロという距離は、東京と日本海側の新潟県・柏崎間の直線距離にほぼ相当する。ロシア側の奥地まで届くドローン兵器の威力を象徴する攻撃となった。