パレスチナの国連加盟、反対・棄権した主要国は? 賛成多数で採択
5月10日、国連総会でパレスチナの国連加盟を支持する決議案の採決があり、賛成多数で可決された。分かれた主要国の対応とは。
◆パレスチナの国連加盟決議
先週、ガザ危機を受けて緊急に召集された国連総会において、パレスチナに対して現在のオブザーバー国家の資格をアップグレードする決議が執り行われ、賛成143、反対9、棄権25、無投票16という結果となり、パレスチナの国連加盟を支持する決議案が賛成多数で可決された。
先月、国連の安全保障理事会において、パレスチナが国連の正式な加盟国になることに関しての要求は、アメリカの拒否権発動により否決されている。議会は、安保理に対しての、再検討を要求している。
今回の決議に反対した主要国は、アメリカとイスラエルのほか、チェコ、ハンガリー、アルゼンチン、ミクロネシア、パプアニューギニア、パラオ、ナウル。対立関係にあるイスラエルは、当然のごとく反対。今回の議決結果を受けて、イスラエルの外相は「ハマスへの賞品だ」とコメントしている。
また、親米・親イスラエルのチェコの国連代表は、「パレスチナ地域の人々は、恒久的な紛争解決に至るような平和的解決の見込みに値する」と述べた。アルゼンチンについては、昨年暮れに大統領に就任したハビエル・ミレイの政権になってから、イスラエル寄りとなった。
◆棄権した主要国の考えとは
今回の決議では、いくつかの主要国が棄権している。たとえば、カナダは2国家解決を支持してきており、パレスチナ国家を認める準備はあるが、10月に発生したハマスによるテロ攻撃とハマスがパレスチナ領土の大部分を占領している状況があることを考慮して、棄権に至ったと説明している。
一方、ドイツに関しても、2国家解決を支持するものの、戦闘が続いており、人質問題も解決に至っていないなか、パレスチナ国家は実現しないとしたうえで、イスラエルとパレスチナの直接交渉のみが中東に平和をもたらすものであり、2国家解決を実現させるものだとの声明を出した。
また、オランダに関しても2国家解決を支持するものの、和平が保たれていない状況においては、その実現が難しいというスタンスを示している。ほかにも、イギリスやスイス、イタリア、スウェーデンなどの欧州各国が棄権した。
一方で、棄権ではなく、賛成したことでユダヤ系コミュニティなどから反発を受けたのが、オーストラリアだ。アメリカと強いつながりを持つ同国だが、イスラエル・パレスチナ問題に関しては意見が異なる。ペニー・ウォン外相は、議決が紛争解決をもたらすとは言わないが、平和に向けたモメンタムを構築するために、私たち全員ができる限りのことをやるべき」と述べた。
国連加盟国が連携することで、イスラエル政権にプレッシャーを与えることができるだろうか。平和構築を目指して作られた国連だが、21世紀の紛争解決に対する影響力は限られたものでしかなさそうだ。