イスラエルへの報復示唆も…ジレンマに陥るイラン 大使館攻撃受け
◆イランが抱えるジレンマ
一方、イランの指導者たちはイスラエルへの報復を示唆しているが、現状それ以上のことはできない。現在、イスラエルのネタニヤフ政権は自国が有事にあることを強く自認し、仮にイランがイスラエル領土などへの報復攻撃を行えば、両国が直接衝突するリスクは極めて高まる。イスラエルにとって軍事的ハードルはそれほど高くなく、おそらくイランもそのリスクを熟知しているだろう。
イランにとっては、現在のように自らが支援するヒズボラやイエメンのフーシ派、シリアやイラクに点在する親イラン武装勢力が独自の判断でイスラエルやアメリカを攻撃する環境が最も都合が良く、それを維持したい思惑がある。
しかし、イランにはリスクもある。ヒズボラやフーシ派などからすれば、自らがイスラエルやアメリカから攻撃を受けているにもかかわらず、イランがそれ以上踏み込んだ行動を取らなければ、かえってイランへの不信感を強める可能性がある。これについてイラン自身がどう思っているか分からないが、イランには「強い姿勢に転じれば自らが戦争に巻き込まれるリスクがある一方、何もしなければ支援する勢力から不信感を買う」という一種のジレンマに陥るリスクがあるように感じられる。
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