ウクライナ、ロシア石油施設への長距離ドローン攻撃を展開 石油精製量減少
◆石油処理能力は着実に減少
石油施設への攻撃により、ロシアの石油事情は着実に悪化している。ブルームバーグは、2つの主要な製油所で操業が一時停止したことを受け、ロシアの石油精製量が約2ヶ月ぶりの低水準に落ちこんだと報じた。1月31日までの7日間において、ロシア国内の石油精製量は日量541万バレルとなり、12月中の平均を13万5000バレル下回った。
米シンクタンクの大西洋評議会は、ロシアのジレンマを強調する。ウクライナ戦争の前線を固めるか、あるいは国民生活に直結する重要なエネルギーインフラを守るために防空網を組み替えるか、厳しい決定を迫られた格好だ。同シンクタンクはさらに、ロシアは広大な国土を擁するがゆえに、国土を完全な防空網でカバーすることが難しいと指摘する。ウクライナはヴォルゴグラードからサンクトペテルブルクまで、前線から遠く離れた施設を標的にしている。
◆制裁回避するロシアの資金源を絶つ
一連の攻撃を通じウクライナ軍は、ロシアの軍事作戦を支える戦車や戦闘機用の燃料供給を阻害すると同時に、戦争の資金源ともなっている石油収入の流れを乱す目的があるとみられる。エネルギー安全保障の専門家であるオレナ・ラペンコ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、ロシアは国際的な制裁を回避し、石油輸出で戦争開始以来4000億ドル(約60兆円)以上の収入を得ているとの分析を示している。
ドローンによる攻撃には限界もある。大西洋評議会は、既存の長距離ドローンは50キロ以上の弾頭を運ぶことができないため、比較的容易に無力化されると指摘する。一方で記事は、最終的には新たなドローン攻撃でロシア経済に混乱をもたらすことをウクライナ軍が期待しているとも述べる。膠着状態の前線以外も視野に、攻撃対象は多様化している。
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