マララ・ユスフザイ氏、アフガンの「ジェンダー・アパルトヘイト」に立ち向かうよう世界に呼びかけ

Jerome Delay / AP Photo

 ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ氏(26)は12月5日、イスラム主義組織タリバンが2021年に政権を掌握したアフガニスタンにおいて女性と女児に対する差別「ジェンダー・アパルトヘイト」が今なお行われていることを認識し、この問題と対峙していかなくてはならないと述べた。

 アフガンを覆う「暗黒の日々」を終わらせるために一致団結し、即座に行動するよう国際社会に向けて呼びかけた。ユスフザイ氏は2014年、母国パキスタンで女子教育の権利を訴え続けた功績により17歳でノーベル平和賞を受賞した。史上最年少の受賞だった。

 その2年前、彼女は下校途中のスクールバスでアフガンのタリバンとは別の武装勢力だが同盟関係にあるパキスタン・タリバンによる襲撃を受け、頭を銃で撃たれたものの一命はとりとめた。

 南アフリカの反アパルトヘイト指導者でノーベル賞受賞者、ネルソン・マンデラ氏の没後10周年となる今年、ヨハネスブルグで毎年開催されているネルソン・マンデラ・レクチャーでの講演を後えたユスフザイ氏は、AP通信の取材に応じてくれた。

 バラク・オバマ元アメリカ大統領、アントニオ・グテーレス国連事務総長、慈善家でありマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏などが演台に立ったイベントで、最年少の講演者だった。

 講演はアフガンの女性や少女たちに向けられた内容で、ガザ地区やウクライナで戦争が起きているなかにあって、彼女たちが抑圧されている現実に世界の注目を集めようとするものだった。

 ユスフザイ氏は「私の頭に銃弾が撃ち込まれた後、世界は私の側に立ってくれた。アフガンの少女たちの側に立ってくれるためには一体何が必要なのか」と呼びかけた。

 タリバンは政権を掌握して以来、中学以上の女子教育を禁止し、女性に対して厳しい制限を課してきた。さらに就業や公共の場への立ち入りも禁止し、イスラム法(シャリーア)を厳格に解釈しようとしている。

 ユスフザイ氏はAP通信とのインタビューのなかで「タリバンの手に落ちて以来、アフガンは暗黒の日々を送っている。2年半経った今でも、女児の多くは学校に行っていない」と話している。

 国連に対しても「アフガンではジェンダー・アパルトヘイトが今なお行われていることを認識する」よう訴え、「女性が拘束、収監、殴打され、強制的に結婚させられている」という最近の報告を引用しつつ、「2年半はとても長い時間だ。女性の将来が犠牲になっている」と付け加えた。

 また、パキスタンに不法滞在しているアフガン人を強制送還するパキスタンの新たな政策に「心を痛めている」とも話す。強制送還される女性や少女たちは帰国後に危険にさらされる可能性があるからだ。

 イスラエルとハマスの紛争に対しては即時停戦を求め、包囲されたガザ地区では「多くの子供や女性の命が失われている」と述べた。

 過激派組織ハマスが運営する保健省によると、10月7日にハマスがイスラエルで約1200人の命を奪うという前代未聞の攻撃を仕掛けたことで始まった今回の紛争により、ガザ地区ではこれまでに1万8000人以上が犠牲となり、その大半は女性と子供だった(この数字では市民と兵士は区別されていない)。

 ユスフザイ氏は、国際法違反と戦争犯罪について両当事者の責任が問われなくてはならないとして「私たちは常に罪のない人々の側に立っていることを確認する必要がある。そして彼らを守り、これ以上の戦争や紛争を止めるよう訴える」と述べた。

 その上で、今年のノーベル平和賞が女性人権と民主化の活動家ナルゲス・モハンマディ氏に授与されたことを賛えた。イランのテヘランにある有名なエヴィン刑務所に収監されている本人に代わり、10日にモハンマディ氏の子息がノーベルメダルと証書を受け取った。

 ユスフザイ氏は「正義をもたらし、抑圧や男女差別と闘うためにたゆまぬ努力を続けている多くの女性が評価されるのを目にすると、志を同じくした人が他にもいることが改めてわかり希望が湧いてくる」と話している。

 彼女自身が女性と少女の抑圧に対する闘いを始めたのは11歳のときにブログを公表したときだった。現代の若い女性たちに心の底から伝えたいメッセージがあるとして、「誰かがあなたの気持ちを代弁してくれるのを待っていてはいけない。あなたたちは自分のために立ち上がる力があるのだから」と、自分の発する声を見出すよう促した。

By MOGOMOTSI MAGOME and GERALD IMRAY Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP