ガザの人々にネット環境を…eSIMを寄付する活動が広がる

パレスチナ自治区ガザ地区南部のラファ(4日)|Fatima Shbair / AP Photo

◆Xを通じて支援の輪が拡大
 クオーツの記事は、エル・ヘルバウィのX(旧ツイッター)のアカウントに投稿された情報をもとに、11月25日時点でコネクティング・ガザに対して125万ドル相当のeSIMの寄付があったと報じる。世界94ヶ国から支援が集まり、約4万人以上のガザ住民がインターネットアクセスを得たとのこと。たとえば、パレスチナ人活動家のアハメッド・エル・マドゥフーン(Ahamed El-Madhoun)は、キャンペーン開始同日にeSIMを手に入れ、約4万1000人のXフォロワーに情報を発信している。ネットワークが遮断された直後、彼はイスラエル・テレコムの回線を利用して、XでeSIMが必要だという発信を行った。イスラエル・テレコムの回線は30分ほどでブロックされてしまったが、幸い、彼のSOSのメッセージがエル・ヘルバウィに届いたとのことだ。

 ネットワークが遮断された当初、エジプトの携帯電話回線をガザ地区に広げるようにエジプト政府に呼びかける声や、スターリンクを有効化するようにイーロン・マスクに呼びかける声も上がったという。しかし、これは実現することなく、コネクティング・ガザの活動がボランティアの草の根活動として始まった。eSIMを有効化するためには、eSIMに対応したスマートフォンを保有しており、かつ安定したインターネット回線が必要だ。現状、これらの2つをガザにおいて入手するのは、そもそも難しいとクオーツは報じる。さらに、屋根の上など高いところに行かないとeSIM回線の電波を受信できないなどといった困難もあるようだ。しかし、インターネットは水や食料と同じぐらいに重要な生死に関わる基本インフラであり、コネクティング・ガザのキャンペーンを通じたeSIMの寄付が多くのパレスチナ人の役に立っていることは間違いない。

Text by MAKI NAKATA