チンギス・ハンめぐる仏中の因縁 マクロン大統領がモンゴルの博物館を訪問

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◆中国の神経も逆なで?
 ナント歴史博物館のチンギス・ハン展は、もともとは2020年開催を予定していた。そうして当初は、中国の内モンゴル自治区州都フフホトにある内蒙古博物館から、皇帝の印章や金製品などを含む225点の貸与を受けることになっていた(ル・モンド紙)。ところが、そこに大きく政治的な介入をしてきたのが中国だ。

 美術品貸与を管理する中国の公的機関は中国国家文物局だ。この貸与にあたり、同局は複数の修正を要求してきたとされる。具体的には、「チンギス・ハン」「モンゴル」「帝国」といった特定の用語の削除と、説明文や地図を含む特別展関係の文書のすべての検閲だ。それに従えば、地図上でモンゴルが占める場所は「中国北部の草原地帯」と記されることになる。(シアンス・アヴニール誌

 史実の書き換えに通じるこの中国政府の要求を、ナント歴史博物館は拒絶した。そのため2020年に予定されていた特別展は一旦白紙に戻さざるを得なくなった。だが中国のこの態度は、逆に、世界の博物館の団結力を高めることになったと、ナント歴史博物館ベルトラン・ギエ館長は語る(ル・モンド紙)。モンゴル政府をはじめ、ヨーロッパやアメリカ、台湾の博物館から、協力の申し出が相次ぎ、今年10月の開催が可能になったからだ。

Text by 冠ゆき