「偏る」ダボス会議、目指す「分断世界での協力」を実現できるか
◆参加者の27%は米国から、24%がCEO
ダボス会議に参加できるのは、世界経済フォーラムの1000のメンバー企業の経営者、G7およびG20の公人や国際機関のリーダー、市民団体やメディアのリーダーなどといった限られたエリートたちだ。クオーツの記事によると、2658名の参加登録者の内訳のトップが、アメリカを代表する703名の参加者(27.2%)。以下、主催国のスイス(9.6%)、イギリス(9.1%)、ドイツ(4.3%)、インド(3.6%)、日本(3.1%)と続く。トップ10ヶ国からの参加者が、全体の参加者の3分の2を占める。また、同記事によると、少なくとも634名のCEOが参加。一方で、主要国の参加者における公人の参加率は低く、アメリカにおいては2.8%に留まる。今回の会議では、ドイツのオラフ・ショルツ首相含め、52ヶ国の首脳が参加するが、アメリカのバイデン大統領、中国の習主席、ロシアのプーチン大統領、フランスのマクロン大統領、イギリスのスナク首相といった主要国の政界リーダーは不在だ。
孤立するロシア、アメリカと中国の貿易摩擦、世界のGDPに占める国際貿易の割合が2008年をピークに停滞していることなどを受け、ダボス会議を象徴するグローバリゼーションの価値観とともに、世界情勢と会議の関連性が薄まりつつあるとの見方もある。環境危機に対して取り組む会議としては国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)を重要視する声もある。
一方で、ダボス会議の主催者側は、一部会議のライブストリーミングや、「グローバル・コラボレーション・ビレッジ」と名付けられたメタバース・プラットフォームのリリースなど、よりインクルーシブでグローバルなプラットフォームとしての存在感を維持し続けようとしている。「分断された世界における協力」の実現には、各界のリーダーだけでなく世界の市民一人一人が、国際課題に関心を持ち続け、参加していくことが必要だ。ダボス会議を、エリート会議として批判することは容易いが、ダボス会議でかかげられた危機に対しては、誰しも無関係でいることはできない。
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