動員令で脱出するロシア人は政治難民なのか? 受け入れめぐりEU内で賛否
◆早々にロシア人受け入れ姿勢を見せたドイツ
その一方で、ドイツやフランスからはロシア市民受け入れに肯定的な声が聞かれる。
ドイツのナンシー・フェイザー内務大臣は、「勇気をもってプーチン大統領に反対し、自身を大きな危険にさらす人はみな、ドイツで政治亡命の申請ができる」と明言した。フランスは現在のところ公的な見解を示していないものの、カトリーヌ・コロナ外相は23日、「自分の意見を表明したり、ロシアを脱出してきたいと考える多くのロシア人の願いに応える必要があるだろう」と発言している。上院議員のなかには、ロシア政府に反対する者や脱走者の受け入れを嘆願する議員もいる。(フランス・アンフォ)
また、EUのシャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)も、ロシア政府に異議を唱えることで危険に晒されるロシア人がいるのならば、「EUは開かれた態度を示すべき」という姿勢を明らかにした(同上)。
EUとしての見解を統一するため、EU加盟27ヶ国は、26日からブリュッセルで危機会議を始めたところだ。ロシアからの逃亡者を政治難民と捉えるべきか、それとも入境を可能とする人道的ビザを与えるのみにするべきか? 就業の可否は? 期間は限定するのか? 判断の基準はどこに置くのか? 早急に取り組むべき議題は多い。
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