動員令で脱出するロシア人は政治難民なのか? 受け入れめぐりEU内で賛否

ロシアからジョージアに入国した人々(9月28日)|Shakh Aivazov / AP Photo

◆脱出ロシア人は難民か?
 脱出ロシア人を受け入れるべきかどうかについて、EU加盟27ヶ国では正反対の意見が出ている。

 現在、チェコ、エストニア、ラトビア、リトアニアは、ロシア人の受け入れを拒否している。チェコのヤン・リパフスキー外相は22日、国外逃亡したロシア人に人道的ビザは与えないと発表した。(フランス・アンフォ、9/25)

 バルト3国の閣僚はそれぞれ21日、「動員から逃れるロシア人に避難所は提供しない」意思を示した。リトアニアの内務省は、各亡命ケースは個別に検討されると発言。エストニアのウルマス・ラインサル外相は、ロイター通信に送ったメールの中で「ロシアでロシア市民としての義務を果たすことを拒否したり、拒否したいと思うことは、他国への亡命が認められる十分な理由にはならない」と述べた。(ストレーツ・タイムズ、9/22)

 ラトビアのエドガルス・リンケビッチ外相も22日のツイートで、「動員のせいで現在ロシアから逃れているロシア人の多くは、ウクライナ人の殺害には同意していた。異を唱えなかったのだ。その彼らを良心的兵役拒否者とみなすのは公平ではない」と厳しく断じ、彼らの逃避を認めることで起こるリスクへの懸念を示した。

 また、シェンゲン圏のビザを持つロシア人が経由できる唯一の国だったフィンランドも23日、ロシアとの国境閉鎖を決めた。同国は国境を開くことで、ロシア政府寄りの工作員がEUに入境してしまうことを危惧している。(フランス・アンフォ)

Text by 冠ゆき