動員令で脱出するロシア人は政治難民なのか? 受け入れめぐりEU内で賛否

ロシアからジョージアに入国した人々(9月28日)|Shakh Aivazov / AP Photo

 ロシアのプーチン大統領が21日に予備役の部分的動員令を発表してから、招集から逃れようと国外に脱出するロシア人が増加している。ウクライナ侵攻を支持しないこれらのロシア人受け入れについて、欧州連合(EU)加盟国では意見が分かれている。

◆すでに26万人以上がロシアを脱出
 ロシアの治安当局は、招集から逃れるために同国を脱出したロシア人男性はすでに26万1000人に上ると見ている(フランス2、9/27)。ロシア当局は出国者の取り締まりを強化しているが、出国を支援するアプリ「Remotecate」なども広まり、脱出者はまだ増えそうだ(フランス・アンフォ、9/27)。行き先は、ロシア人がビザなしで入国できるジョージアやトルコなどだ。ロシアからジョージアへは陸路で越えることができ、トルコとは空路で結ばれている。

◆難民の定義
 ここで一つの疑問がもち上がる。ロシアのウクライナ侵攻に賛成できず、動員から逃れて国外に脱出するロシア人は難民とみなされるべきなのだろうか?

1951年締結の難民条約によれば、難民の基本定義は次の通りだ。

「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができない者またはそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まない者」

 上の定義を見ると、ロシアの侵攻以降に他国に逃れたウクライナ人は、個々の調査が必要とはいえ、難民の定義に当てはまる可能性が高い。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、侵攻以降に国外に避難したウクライナ人は9月27日時点でのべ1300万人を超えている。

Text by 冠ゆき