南シナ海ハーグ裁定から6年 現状変更の既成事実化を続ける中国
最近、南シナ海情勢はそれほど焦点が当たらないが、依然として中国による現状変更が続いている。そして今月、南シナ海の大半に主権が及ぶとする中国の主張を否定したオランダ・ハーグの仲裁裁判所の裁定から6年が経過した。仲裁裁判所による判決であり、国際的には非常に重い判決であるが、中国はそれを紙くずに過ぎないと反発し、現状変更の既成事実化を続けている。
◆ベトナムと中国の衝突
南シナ海で領有権を争うベトナムと中国の争いは一向に落ち着かない。2020年6月、ベトナムが領有権を主張する南シナ海・西沙諸島でベトナム漁船が中国船2隻に襲われ、魚や機材などを強奪される事件が発生し、ベトナム政府はその後中国に強く抗議した。しかし、中国は西沙諸島は中国のものだとベトナムの抗議を一蹴するなど強気の姿勢を堅持している。2020年4月にも中国海警局の船がベトナム漁船を沈没させる事件があった。
◆フィリピンと中国の衝突
ベトナムだけではない、フィリピンと中国の争いも続いている。2019年6月には、南シナ海でフィリピン漁船が中国の漁船に衝突され、沈没した。乗っていた船から投げ出されたフィリピン人の乗組員22人は近くを航行していたベトナム船に救助され、全員無事だったが、中国とフィリピンの間では今日でも緊張が続いている。
昨年11月には、南シナ海の南沙諸島にある岩礁で、フィリピンの民間補給船が中国海警局の公船によって航行を妨害された上に放水を受ける事件があった。民間補給船2隻はフィリピン軍兵士が常駐する同岩礁に物資を運搬している最中に妨害を受けたという。
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