ロシアが「スヴァウキ回廊」を攻撃する? リトアニアとの対立で高まる懸念

ロシアのカリーニングラードからリトアニアに向かう貨物列車(6月22日)|Mindaugas Kulbis / AP Photo

 欧州連合(EU)の制裁の一環として、リトアニアが自国経由でロシアのカリーニングラード地方へ向かう物資の一部輸送を禁止したことから、ロシアが強く反発している。カリーニングラードはロシアの重要な軍事拠点だが、NATO加盟国のポーランドとリトアニアに挟まれた飛び地だ。制裁の報復として、親ロシアのベラルーシとカリーニングラードを結ぶスヴァウキ回廊をロシアが攻撃するのではないかと懸念されている。

◆ロシアに痛みを リトアニア制裁堅持を表明
 カリーニングラードはかつてドイツに属していたが、1945年のポツダム協定によりソ連領となった。ソ連はこの地域を不凍港、かつ漁業の中心地として開発し、ドイツ人が脱出や強制追放でいなくなった後に、ソ連国民の移住を促した。冷戦時代以来、ロシアのバルチック艦隊の主要拠点となっている。

 しかしソ連が崩壊しバルト諸国が独立すると、カリーニングラードはリトアニア、ラトビア、エストニアというNATO加盟国に囲まれた飛び地となった。南には同じくNATOの一員であるポーランドがある。西側との関係が悪化するにつれ、ロシアにとってのカリーニングラードの軍事的重要性は増したが、ポーランドやリトアニアを経由する物資に依存するようになったことで脆弱性も増した。

 リトアニアの措置に対し、ロシア側はカリーニングラード地方の輸入品の半分以上がリトアニアの「封鎖」の影響を受けていると批判し、報復を示唆した。しかしリトアニア側は、物資は海路で輸送できるとし、ロシア側の「封鎖」という表現を拒絶。欧州委員会と相談してリトアニアの国益と国際的義務を守るとし、ロシアに対しての痛みを伴う制裁を達成する決意を示した(ラジオ・フリー・ヨーロッパ)。

Text by 山川 真智子