「米原潜の購入を計画」前豪国防相の暴露が物議 問題残る豪潜水艦計画 仏と和解も

オーストラリアのアルバニージー首相(6月10日)|Mark Baker / AP Photo

 昨年オーストラリアはフランスとの次期潜水艦建造契約を破棄し、英米豪による新安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じた原子力潜水艦の共同開発に方針を転換した。一方的に契約をキャンセルされたフランスの怒りは大きく、豪仏関係は悪化していたが、潜水艦建造を請け負うはずだった仏ナバル・グループに豪政府が8億3000万豪ドル(約780億円)の和解金を支払う運びとなった。これによりフランスとの関係改善は進むと期待されるが、建造計画自体には大きな遅れが生じており、納期に関し懸念の声が上がっている。

◆和解へ前進か? 新首相、前政権を批判
 アルバニージ豪首相は重要な同盟国であるフランスとの和解に向けて迅速に動いた。両国関係はオーストラリアの国益にとって「不可欠」とし、関係をリセットするためできるだけ早くマクロン大統領に会う予定だと述べた。(フィナンシャル・タイムズ紙、以下FT)

 そもそもフランスとの契約破棄はモリソン前政権で決定されたものだ。5月に就任したばかりのアルバニージ首相は、モリソン氏の対応を批判。前政権は豪連邦の歴史上最も無駄な政府として記憶されるだろうと述べ、34億豪ドル(約3200億円)も費やしながら1隻も建造されなかった潜水艦計画を「異常な浪費」と表現した。(同)

 オーストラリア国立大学のジョン・ブラクスランド教授は、8億3000万豪ドルの和解金は予想より低く、フランス側のある程度の融和を示唆していると指摘。アルバニージ氏の当選はリセットと再調整の機会を提供するもので、豪仏ともにそれを望んでいると述べた。フランスのルコルニュ新国防相も、新政権下での関係改善の見通しを歓迎した。(シドニー・モーニング・ヘラルド紙

Text by 山川 真智子