ロシアが「電子戦」をウクライナ東部で本格展開 初期の消極姿勢から一転

ロシアの軍事演習、Palantin-K電子戦システム(2021年9月)|Russian Defense Ministry Press Service via AP

 ドローンなど最新鋭の兵器が多く投入されているウクライナでの戦争において、電子機器の正確な動作を妨げる電子戦の攻防が活発になっている。ロシアは電子戦を得意とするが、これまで限定的にしか利用しない不可解な戦い方をしてきた。

◆GPSやレーダー誘導など、広範囲に影響
 ウクライナの諜報関係者は英テレグラフ紙(6月4日)に対し、ロシアの電子攻撃による影響は「非常に深刻」だと語った。対象となる電波としては、無線通信や電話、弾道を捉える防空・対砲兵レーダーなどがあり、影響を受ける可能性があるシステムは広範に及ぶ。

 電子戦とは、敵軍の通信システムやGPSなどの電波を捕捉・撹乱し、物理的な戦闘を有利に運ぶ手法だ。AP通信は「ウクライナの戦場では、携帯の電源を入れるという単純な行為が(弾薬の)死の雨を降らせるきっかけになることがある」と解説している。電子戦は、探索、攻撃、防御の3種に大別される。敵の電波を受信し、位置を特定する行為が「探索」だ。「攻撃」では、ホワイトノイズと呼ばれる妨害電波を発し、敵のシステムの能力を奪う。または「防御」のため、偽の電波を発するスプーフィングと呼ばれる行為を実施し、ミサイルなどを本来の着弾点からそらすことも可能だ。

Text by 青葉やまと