韓国・尹新政権誕生、各国が抱く本音とは?

Jeon Heon-Kyun / Pool Photo via AP

 韓国で10日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領が誕生し、韓国はまた新たな一歩を踏み出すことになった。尹大統領は就任演説で日韓関係に言及しなかったものの、これまで示してきた発言から、日本や米国との関係を重視し、北朝鮮に対して門戸は開くものの厳しい姿勢で臨むと思われる。国内でも支持・不支持は拮抗(きっこう)し、国会では野党多数のねじれが生じており、尹大統領が思い描くように事がうまく進むとは限らない。そんな尹政権の誕生を各国はどう思っているのか。

◆肯定的に捉えているバイデン政権
 おそらく、関係当事国のなかで最もその誕生を肯定的に捉えているのは米国のバイデン政権だろう。近年、韓国と米国との関係は安全保障を中心に極めて悪化し、米国の韓国に対する不満はこれまでになく高まっていた。しかし、尹政権が日本との関係改善、安全保障協力を進める意向を示しており、バイデン政権はこれで日米間の連携を強化できると安堵していることだろう。中国の台頭が顕著になるなか、米国は長年日韓の協力の必要性を訴えてきた。

◆尹政権の出方を窺いつつも肯定的に捉える日本
 同じく、日本も基本的には米国と同じスタンスである。確かに、今後の尹政権が元徴用工や慰安婦など日韓の懸案事項でどのような姿勢を示してくるかなど不透明な点があり、また二分化した世論や野党多数を考慮すれば、尹大統領が描くビジョンの変更もあり得るだろう。しかし、覇権活動を続ける中国や瀬戸際外交を繰り返す北朝鮮に加え、ウクライナに軍事侵攻したロシアの今後を考慮すれば、日本にとって韓国の必要価値は急速に高まっている。岸田首相も日韓関係は待ったなしと主張しており、基本的には期待が大きいだろう。

Text by 和田大樹