米国の非介入主義を考える ウクライナ戦争でも維持、焦る台湾

Carolyn Kaster / AP Photo

 ロシアによるウクライナ侵攻から1ヶ月が過ぎるなか、筆者は一つのことを自問している。それは米国の非介入主義だ。ロシア軍による侵攻では多くの民間人が犠牲になるだけでなく、マウリポリのように1つの都市も破壊される結果となり、この決断を下したプーチン大統領の政治的、人道的責任は極めて重い。そのようななか、バイデン政権は欧州諸国とともにロシアへの経済制裁を強化し、ウクライナに対して軍事支援を積極的に行っているが、現地ウクライナに米軍を派遣するというオプションは結局取らなかった。

◆非介入主義を継承するバイデン政権
 米国の非介入主義というものは決して新しいものではない。アフガニスタンやイラクでの対テロ戦争が泥沼化し、中国が徐々に大国としての風格を示すなか、オバマ政権の時に米国は世界の警察官からの引退を宣言した。世界のあらゆる紛争には介入できない、そういった米国の姿勢は以前から色濃かった。

 そして、これはオバマと価値観が相反するトランプ政権でも同じで、まさにアメリカファーストはその表れの一つと言えるだろう(理念的には異なるが)。アメリカファーストを批判してきたバイデン大統領もアフガニスタンから米軍を完全撤退させ、その姿勢は結局今回のロシアによるウクライナ侵攻でも維持される結果となった。

Text by 和田大樹