タリバンが直面する「20年の変貌」、新価値観で育った若者たち
2001年にアメリカがタリバンを追い出した後、アフガニスタンの市民生活は大きく改善した。都市部では民主的なビジネスや文化が育ち、若い世代では旧タリバン統治時代を知らない人々も多い。国を支配するうえで、以前とは違うと主張するタリバンだが、この20年がもたらした変化にどう対応していくのかが注目される。
◆町は廃墟に 米兵が見た戦後の荒廃
米兵としてアフガニスタンに10年近く滞在した起業家のクリス・コルステン氏は、ニューヨーク・デイリー・ニュース紙(NYDN)で、2001年のタリバン排除後を振り返る。同氏が2005年に初めてアフガニスタン東部に到着したときには、国はまだ混乱のなかにあった。都市はほとんど廃墟と化し、未舗装の道路は汚水やごみで埋め尽くされていた。高速道路は穴だらけで、通行には大きな危険が伴った。時代遅れの医療も受けるのは困難で、学校もほとんどなく、教師は本も鉛筆も持たない子供たちを木の下に座らせ授業をしていたという。
電気はいくつかの主要都市で散発的に使える程度で、一部の裕福な家庭のみが自家発電を行っていた。人口の80%が農業従事者である国の灌漑システムは使えなくなっており、食糧自給率も低下した。農民たちは唯一の換金作物であるケシの栽培で何とか生計を立てていた。
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