ロシアの新型ステルス戦闘機「チェックメイト」、Su-57と同じ問題に直面?
◆開発には年月を要する可能性も
一部ではF-35に匹敵するともいわれるチェックメイトだが、その驚くべき性能を鵜呑みにするのは早計のようだ。米技術解説誌のポピュラー・メカニクス誌(7月21日)は、「問題は1つだけ。実際には飛ばないのだ」と指摘する。専門家たちはMAKS 2021で展示された航空機が、実は単なるモックアップである可能性が高いと分析している。ランディング・ギア格納部の周囲にある隙間から内部を覗き込むと、そこには電気系統も油圧系統も、確認できる限りにおいて設置されていない。
また、正式な展示前に映像がリークしているが、そこに映る外装の仕上げも実機の品質とは遠いものだった。同誌は「ダミーのモックアップからたった6年間で戦闘可能な機体の納入を行うというチェックメイトの開発スケジュールは、非常に野心的だ」と述べ、スケジュールの現実味に疑問を呈している。一方、Su-57の開発で蓄積した技術力がプラス材料になる可能性はあると同誌はみる。
ところが、先行するSu-57プロジェクトの存在も、必ずしもチェックメイトに好影響を及ぼすとは限らない。Su-57はコスト高により生産が難航しており、実際の部隊で使用されている機体はわずかだ。フォーブス誌は「最終的なコストが数百億ドルにも上ろうかというSu-57プロジェクトの費用をロシアはかろうじて賄っている」と述べる。専門家は「このチェックメイトもSu-57とまったく同じ課題に直面している」「ロシア政府には(中略)開発を完了し量産に入るための資金がないのだ」と指摘し、先行プロジェクトと同様に資金難がチェックメイトの開発に遅延をもたらすとの可能性に言及している。
◆輸出で資金を賄えるか
資金確保の観点では、諸外国への輸出事業が頼みの綱となるだろう。スホイ社の親会社のスポークスマンは、ディフェンス・ニュース誌に対し、すでにロシア以外の国々がチェックメイトの購入に興味を示していると語った。同社はチェックメイトのターゲット顧客として、すでに中東やアフリカ諸国などを想定している。幅広いミッションに応じることができる点や、メンテナンスが比較的容易な点などを同社はアピールしている。加えて、オープン・アーキテクチャを採用しており、顧客の要望に応じてカスタマイズできるとも述べている。
海外からの資金を得ることができれば、資金難というチェックメイトの重大な課題が前進することになる。しかし、ここでも問題が発生する。フォーブス誌は、蓋を開けてみれば海外から主だった需要がないのではないかと指摘する。同社がターゲットとする中東やアフリカの国々は、必ずしもF-35の迎撃を優先課題としていない。造船や戦闘機などの巨大産業は、輸出なしに収支を合わせることは困難だ。同誌は「しかし、この機体を完成させるために一体誰が数十億ドルを投じるのだろう?」と述べ、開発難航への懸念を示している。
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