悪化する豪中関係 豪の新型コロナ調査要求で加速

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 米中対立に注目が集まっているが、近年はオーストラリアと中国の関係も冷え込んでいる。シドニー工科大学の研究チームが最近発表した対中認識についての調査結果によると、アンケートに回答した2000人あまりのうち62%が新型コロナウイルスによって中国へのイメージが悪くなったと回答し、67%がオーストラリアの安全保障にとって中国が脅威だと回答した。また、中国は最大の貿易相手国であるが、8割がオーストラリアは経済的に中国に依存し過ぎだと回答し、中国との緊密な経済関係を求める声は49%に留まった。

◆拡大する豪中貿易摩擦
 昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大において、オーストラリアは中国に感染の起源に関する国際調査を公式に求めた。中国はそれに応じずオーストラリアに対し不信感を高め、石炭や牛肉、ワインなどオーストラリアの主要輸出品の輸入を次々に制限した。それによってオーストラリアの対中不信はさらに高まり、オーストラリアのテハン貿易相は6月19日、中国がオーストラリア産ワインに対して関税を不当に上乗せしているとして世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。また、オーストラリアのペイン外相は4月21日、南東部ビクトリア州が巨大経済圏構想「一帯一路」を進める中国と2018年と2019年に締結した2つの協定を破棄すると発表した。

 豪中貿易摩擦は拡大するばかりだ。昨年中国からオーストラリアへの投資額は約10億豪ドルとなり、前年比で61%も減少した。また、昨年の中国からの投資件数はたったの20件となり、ピークだった2016年の111件から大幅に減少した。

Text by 和田大樹