イスラエルとサウジアラビアが接近か バイデン政権で変化する中東情勢
サウジアラビアも基本的には同じで、バイデン氏を祝福するメッセージを発表したが、人権問題を重視するバイデン氏が、イエメン内戦への加担、2018年のサウジ人ジャーナリスト・ジャマル・カショギ氏の殺害などで圧力をかけてくる場合もあり、トランプ政権下の蜜月関係は解消される可能性が高い。バイデン政権になれば、米国とイランの緊張が緩和されるだろうが、サウジアラビアとイラン、イスエラルとイランの間でトランプ政権下以上に摩擦や緊張が生じてくる可能性がある。
◆バイデン政権下で生じる新たなリスク
トランプ政権と蜜月関係だったイスラエルとサウジアラビアは、バイデン政権の政策をいまのうちから心配してか、イスラエルのネタニヤフ首相が22日、サウジアラビアを極秘に訪問し、サウジアラビアのムハンマド皇太子と会談したとの報道が流れた。イランと敵対する両国は「敵の敵は味方」の関係にあり、バイデン政権では対イラン圧力が弱まることから、いまのうちから二国間関係を強化しようという思惑が見て取れる。
今年になってUAEやバーレーンがイスラエルとの国交正常化を発表したが、国際社会ではアラブの盟主であるサウジアラビアも国交正常化に動くのかどうかが注目されている。バイデン政権下の環境では、それが加速化する可能性もある。しかも、それは経済領域だけでなく安全保障領域でも協力が加速し、「米国を除いたサウジアラビア、イスラエルVSイラン」の緊張が高まるリスクを内在している。
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