バイデン政権でも続く米中対立 中国が恐れる人権問題への「多国間主義」圧力
◆バイデン政権とトランプ政権の対中政策での違い
では、両政権の対中政策ではどんな違いがあるのだろうか。まず、バイデン政権になると、トランプ政権時のような米中貿易戦争は解消される可能性が高い。トランプ大統領がこれまでに発動した措置がすぐに緩和されるかはわからないが、トランプ大統領のような追加関税発動の連発はなくなることだろう。バイデン政権がトランプ大統領のような露骨なやり方を継続することは考えにくい。
バイデン政権は、地球温暖化や世界経済など多国間協力が必要なイシューにおいては中国とも協力するスタンスであり、その部分では米中関係が改善に向かう可能性がある。
一方、トランプ大統領と違い、バイデン氏は人権重視である。新疆ウイグルやチベットなど少数派の人権問題では、トランプ政権以上に中国に圧力をかける可能性がある。習近平政権にとって、アメリカファーストのトランプ政権が中国の少数民族問題で口を挟まなかったことはメリットだったかもしれないが、バイデン氏は貿易摩擦ではなく人権で中国に圧力をかけていく可能性がある。
いずれにせよバイデン政権でも米中対立は続いていくだろう。バイデン政権になると、欧州との関係は大幅に改善されることから、中国は、今後米国が「多国間」協力(トランプ政権は単独)で圧力をかけてくることを警戒している。
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