サウジの核開発疑惑、UAEの原発リスク……懸念される中東情勢
◆サウジアラビアが核開発?
最近、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、サウジアラビアが中国支援のもと北西部にウラン精鉱施設を建設しているとして、米国など関係国が警戒を強めていると報じた。同紙によると、サウジアラビアが核兵器にも転用可能なウラン鉱石から精鉱を生産している可能性が浮上しているが、サウジアラビアはそれを否定し、ウランを平和的かつ経済的に利用する権利を主張している。サウジアラビアは2012年に中国との間で原子力の平和利用に関する条約を締結した。
だが、仮にそれが事実であると、サウジアラビアと対立するイランや中東地域で唯一の核保有国イスラエルが懸念を深めることは必至で、同地域の緊張が高まる恐れがある。サルマン皇太子は2018年に「イランが核兵器を開発すれば我々もできるだけ早く同じようにするというのは疑いようがない」との姿勢を明らかにしている。また、サウジアラビアを警戒し、イランが核開発を加速化させ、イランと対立するイスラエルも核体制も強化し、さらには中東における核ドミノに拍車がかかる恐れもある。
◆UAEの原発テロ対策は十分か?
一方、UAEは8月1日、同国西部バラカ(Barakah)で1号機となる原子力発電所の稼働を開始したと発表した。バラカ原発は首都アブダビから西に270キロメートルの地点に建設され、アラブ諸国では初の試みとなる。UAEは原発の安全性を強調しているが、中東は上記の「米VSイラン」「イランVSサウジアラビア」「イランVSイスラエル」などの国家間緊張だけでなく、イスラム国(IS)などイスラム過激派の問題を抱えている。イエメンのシーア派武装勢力フーシ派は2017年12月、当時建設中であった同原発に向けてミサイルを発射したという声明を出し、UAE当局はそれを否定したが、今後は同原発を狙ったテロのリスクが強く懸念される。
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