中国に「試す」猶予を与えるコロナ第2波 尖閣で続く異常事態

Al Jazeera English / Wikimedia Commons

◆海警局と軍との融合化で日米をさらにけん制か
 最近、海警局巡視船の尖閣周辺での航行の際、台湾海域にいる軍所属のフリゲート艦やミサイル艦と、中国本土の地対艦ミサイル部隊が連動して行動していたことが明らかとなった。2018年、中国海警局は軍の最高機関である中央軍事委員会の指揮下にある人民武装部隊に編入され、全人代は今年6月、平時において軍と海警が共同で訓練し、戦時には海警が中央軍事委員会か軍の地域別組織である5つの「戦区」から直接指示を受けることを可能にすべく、人民武装部隊の法律を改正した。海警と軍の融合した行動が顕著になると、それと対峙する側にとって心理的なプレッシャーはより大きくなるだろう。衝突の繰り返しなど「派手な」形ではなく、「静かなる着実な」海洋覇権拡大を進めたいと中国としては、海警と軍が融合した行動は戦略的に重要な手段と判断しているはずである。

◆新型コロナと海洋覇権は連動する?
 新型コロナウイルスの感染拡大が中国の覇権活動に拍車をかけていると多方面で言われるが、その因果関係を具体的に立証することは難しいものの、中国が日本における第2波の動向を注視し、その政治的隙を探り、海洋行動のエンジンのオンオフを調整していることは間違いない。

 新型コロナウイルスの感染状況によっては、来年の東京五輪の開催も危ういとされるなか、それが長期化すればするほど中国にあらゆるオプションを試させる猶予を与えることになる。現在、新型コロナウイルスの感染をどう抑えるかが最も重要なのは言うまでもないが、日本のメディアも世論ももっと真剣にこの問題を考える必要がある。

Text by 和田大樹