イラン司令官殺害で何が起きるのか? 考えられるリスク
新年を迎えて早々、国際社会は新たなトランプリスクに衝撃を受けている。トランプ大統領は、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のスレイマニ司令官をイラク・バグダッドにおいてドローン攻撃で殺害したと発表した。トランプ政権の誕生以降、米国とイランの摩擦が続いてきたが、今回の殺害はこれまでで最も衝撃が大きいものだ。今回の殺害を受け、筆者にはさまざまなリスクが脳裏に浮かんでくる。
◆高まるイランの反米感情
すでにメディアでも報じられているが、スレイマニ司令官はイランではカリスマ的存在で、大統領候補にも名前があがるほどの人物だ。スレイマニ司令官の遺体がイラン南西部アフワズに到着すると、大通りで行われた国葬には市民100万人が参加したという。
イラン政府は、中東にある米軍施設やイスラエルの各都市を標的とし、必ず報復を行うとの姿勢を強調している。ロウハニ大統領は国内でも穏健派で、これまでも国際社会との歩み寄りに尽力してきた人物だが、その柔軟な姿勢も今回の殺害で完全に遠のいてしまった。
一方、今回の殺害はイランの反米感情を一気に高めたことは事実だが、イラン政府としては、去年秋以降、各地で高まる国民の反政府感情を米国に転嫁させたい狙いもあることだろう。
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