不満を爆発させる中東の若者、一帯一路の中国とぶつかる日は来るのか?

Khalid Mohammed / AP Photo

 秋以降、イラクとイランでは反政府デモがきわめて激化し、多くの犠牲者が出ている。その状況を、中東への経済的関与を強めようとする中国はどうみているのか。近年、債務帝国主義とも揶揄される中国の一帯一路に対して、反発や抵抗の声が各地域から聞こえてくる。イラクやイランに見られる暴力的な若者たちが、一帯一路を進める中国と衝突するときは来るのだろうか。

◆暴力的な若者が増えるイラクとイラン
 イラクでは12月1日、中部ナジャフにあるイラン領事館が先月27日に続いてデモ隊による襲撃を受けた。イラン領事館が襲撃されるのは、先月4日の中部カルバラの事案を含めて3件に上る。イラクの若者は、イランがイラク政府を背後で支援していることから、イランへの敵意も強めている。イラクでは、失業率や経済格差、政府の汚職などに抗議する若者による反政府デモが激化し、これまでの死者は400人に達するともいわれる。イラク国会は1日、デモ隊が求めてきたアブドルマハディ首相の辞任を承認したが、それによって抗議デモが収まる兆しはいっこうに見られない。若者のイラク政府、イランへの不満は高まるばかりだ。

 また、そのイランでも先月15日以降、ガソリン価格の値上げに抗議するデモが各地に拡大し、治安当局との衝突が激化している。デモ隊は各地のガソリンスタンドや銀行などを次々と襲撃し、治安当局も容赦ない対応を繰り返している。抗議デモが拡大するなか、イラン政府は全土でインターネットの遮断を行い、一時混乱状態が生じた。これまでに1000人以上が逮捕され、200人以上が犠牲になったとの情報もある。

Text by 和田大樹